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源泉所得税関係

建築士事務所の設計料に対する源泉徴収

事例

当社事務所の改築に際して、建築士事務所へ設計を依頼し報酬を支払う事になったのですが、この場合に源泉徴収を行う必要はありますか。

アドバイス

源泉徴収が必要な報酬もしくは料金、契約金については所得税法に規定されており、建築士の業務に関する報酬は源泉徴収が必要なものとして挙げられていますので、源泉徴収が必要です。

徴収しなくてはならない源泉徴収額は以下の通りです。(所法204①、205)

報酬・料金の額×10.21%
ただし、同一人に対し1回に支払われる金額が100万円を超える場合には、その部分については、20.42%
なお、以下の点に注意が必要です。

上記の建築士には、建築士法に規定する建築士事務所の登録を受けていない人も含まれます。

建築士の資格を有していない個人の建築業者で、建築士の資格を持っている使用人を雇用し、同様の業務を行った際の料金・報酬についても、源泉徴収の対象となります。

建築士の業務と建築の請負を併せて行っている人に、設計と施工を併せて請け負わせ対価を一括して支払う場合に、設計料部分が極めて少額であると認められるときは、源泉徴収を行なわなくてもよい場合があります。

ただし、源泉徴収を行わなくてもよい場合については判断が伴いますので、顧問税理士へ相談の上対応する事をおすすめします。

インボイス制度開始後の報酬・料金等に対する源泉徴収

事例

当社は翻訳業務を免税事業者に依頼しており、業務完了後に請求書を受け取っております。
請求書上では報酬の額と消費税の額が明確に区分されているため、報酬の額のみを源泉徴収の対象として源泉徴収税額を計算していますが、インボイス制度開始後はどのように源泉徴収税額を計算すればよいでしょうか。

アドバイス

インボイス制度開始後においても、現行の取扱いから変更ありません。

1 現行の取扱い
 原稿料や弁護士報酬などの源泉徴収の対象となる報酬・料金等の中に消費税及び地方消費税の額(以下「消費税等の額」といいます。)が含まれている場合は、原則として、消費税等の額を含めた金額が源泉徴収の対象となります。
 ただし、報酬・料金等の支払を受ける者からの『請求書等』において、報酬・料金等の額と消費税等の額が明確に区分されている場合には、その報酬・料金等の額のみを源泉徴収の対象とする金額として差し支えありません。

2 インボイス制度開始後の取扱い(現行の取扱いから変更なし)
インボイス制度開始後においても、上記1の『請求書等』とは、報酬・料金等の支払を受ける者が発行する請求書や納品書等であればよく、必ずしも適格請求書(インボイス)である必要はありませんので、適格請求書発行事業者以外の事業者が発行する請求書等において、報酬・料金等の額と消費税等の額が明確に区分されている場合には、その報酬・料金等の額のみを源泉徴収の対象とする金額として差し支えありません。

保育施設利用料に対する助成金

事例

認可外保育施設の利用料に対して、居住先の自治体から助成金を受けることになりましたがこの助成金について確定申告は必要でしょうか。

アドバイス

令和3年分以後の所得税について、保育を主とする国や自治体の実施する子育てに係る下記のような助成等については非課税とされました。
①ベビーシッターの利用料に対する助成
②認可外保育施設等の利用料に対する助成
③一時預かり、病児保育などの子どもを預ける施設の利用料に対する助成
(注)上記の助成と一体として行われる生活援助、家事支援、保育施設等の副食費・交通費等ついても非課税となります。

医師に対し引抜き防止のために支給した慰留金

事例

A院(医業)では、優秀な医師Bから、他院からの招聘によりA院を退職したい旨の申出があったため、Bに対し引続きA院で勤務することを条件として慰留金500万円を支給することにより、その引抜きを防止することとしました。
なお、Bには通常の月において、基本給50万円(給与所得として課税)を支給しています。
今回の慰留金については、源泉徴収の対象となりますか。

アドバイス

本件のように他院への引抜きを防止し、引続きA院に勤務することを約するために支払われる慰留金は契約金として源泉徴収の対象となります。
いわゆる契約金とは、一定の者に専属して役務の提供をする者で、その一定の者のために役務を提供し、又はそれ以外の者のために役務を提供しないことを約することにより一時に受ける契約金をいい、その契約金には役務提供による対価が給与とされる場合にその役務の提供契約を締結するに際して支払われるものも含まれることとされています。
なお、給与所得者が受ける契約金は、給与所得ではなく雑所得とされるため、年末調整の対象とはなりません。
源泉徴収すべき所得税額及び復興特別所得税の額は、支払金額により次のようになりますのでご留意ください。

支払金額(=a)税額
100万円以下a×10.21%
100万円超(a-100万円)×20.42%+102,100円

(注)求めた税額に1円未満の端数があるときは、これを切り捨てます。

・所得税法第204条第1項第7号、所得税法施行令第320条第6項、所得税基本通達204-29、204-30

年末調整の対象となる人

事例

当社は、その年の「給与所得者の扶養控除等申告書」(以下「扶養控除等申告書」)を提出している人を対象に、年末調整を行っておりますが、数人から「確定申告するので年末調整しなくていい」と言われています。このような場合、どのように対応すればよろしいでしょうか?

アドバイス

会社が給与支給時に源泉徴収することが義務付けられているのと同じで、年末調整も会社の義務だと考えましょう。
ですので、その年の「扶養控除等申告書」を提出している従業員であれば、本人が希望しなかったとしても原則として年末調整を行う必要があります。
「扶養控除等申告書」を提出していても年末調整の対象から外れるのは下記の場合です。

  1. その年に支払うべきことが確定した給与総額が2,000万円を超える人
  2. その年の途中で退職した人
  3. 災害減免法の規定により、その年の給与に対する源泉徴収について徴収猶予や還付を受けた人
また、上記②の場合においても下記に該当する人は年末調整の対象となりますので注意が必要です。

  1. 海外支店等に転勤したこと等の理由により非居住者となった人
  2. 死亡により退職となった人
  3. 著しい心身障害のために退職し、退職後に他から給与支払の見込みがない人
  4. 12月に支給されるべき給与等の支払いを受けた後に退職した人
  5. 退職までのその年の給与総額が103万円以下で、退職後に他からの給与支払の見込みがない人

社内行事に代えて提供する食品について

事例

当社は毎年、全従業員が参加する忘年会を開催しておりました。しかし、新型コロナウイルス感染症の影響で本年は開催が難しいことから、忘年会に代えて、全従業員に対して新年用に食品を提供することにしました。
一人当たりに係る食品提供費用は、例年の忘年会における一人当たりの会社負担額と同程度です。
この場合、食品の提供により従業員が受ける経済的利益は、給与課税の対象となりますか。

アドバイス

当該事例は、従業員としての地位に基づいて食品提供されるものであるため給与として取り扱われます。
加えて、所得税基本通達36-30では、「使用者が役員又は使用人のレクリエーションのために社会通念上一般的に行われると認められる会食、旅行、演芸会、運動会等の行事の費用を負担することにより、これらの行事に参加した役員又は使用人が受ける経済的利益については、使用者が、当該行事に参加しなかった役員又は使用人に対し、その参加に代えて金銭を支給する場合又は役員だけを対象として当該行事の費用を負担する場合を除き、課税しなくて差し支えない。」と規定されています。
上記を踏まえると、当該事例は、会食等のレクリエーション行事に参加したことにより受ける経済的利益ではなく、所得税基本通達36-30の取り扱いの対象とならないため給与課税の対象となります。

源泉徴収における支払があったものとみなす場合

事例

源泉徴収において通常支払がなければ源泉徴収義務は発生しませんが、例外があると聞いたことがあります。
その例外とは、どのような場合が考えられますか。

アドバイス

役員賞与や株主への配当金等の支払が確定してから1年経過しても未払の場合が考えられます。
役員賞与や株主への配当金等においては、支払が確定した日から1年を経過した日までに支払がなかった場合でも、1年を経過した時点で支払があったものとみなして源泉徴収をしなければなりません。
例えば、役員賞与の支払の確定した日が2022年3月31日であれば、その後支払がなかったとしても、1年を経過した2023年4月1日に支払があったものとみなして、源泉徴収をしなければなりません。
なお、支払にあたって、支払う各種所得の収入すべき日が過年度である場合には、支払った年分ではなく、当該過年分の所得として源泉徴収税額の計算を行うことになりますので、ご注意ください。
上記の場合、2022年分の所得として源泉徴収税額を計算することになります。
(所得税法181-2、183-2、所得税基本通達181-5、183-1)

子会社が親会社へ支払う退職金相当額に対する源泉徴収

事例

Bさんは親会社(以下X社)から派遣され当社(以下Y社)の役員になっております。
今年の3月でX社を定年退職することになり、これに伴いY社の役員も退任します。
BさんがY社の役員として勤務していた期間分の退職金はBさんに直接支払わず、その全額をX社に支払い、X社から両社の勤続期間分を併せてBさんに一括して支払うことになっています。
この場合、Y社がX社へ退職金を支払う際は所得税の源泉徴収をしなければならないでしょうか。

アドバイス

使用者が自己の役員又は使用人を他の会社へ派遣した場合、その派遣先がその役員又は使用人に退職金の一切をその派遣元に支払い、
その派遣元からその役員又は使用人に退職金を支払うことにしているときは、その派遣先がその派遣元に支払う退職金に相当する金額について源泉徴収を要しません。
よって、Bさんに退職金を支払う際はX社負担分とY社負担分とを併せて支払う際にX社が源泉徴収することになり、Y社は源泉徴収を行う必要がありません。
これを明確にするためにも、両社でBさんの退職金取扱いについて契約書を交わすことをお勧めします。

過去に遡及して残業手当等を支払った場合の取扱いについて

事例

当社は本年11月に労働基準監督署から、労働者に対して実労働時間に即した割増賃金を支払うように行政指導を受けました。
その結果、過去2年間の実労働時間に基づく割増賃金と実際に支払った割増賃金との差額分を一括して12月に支払うこととしました。
この場合の割増賃金の課税年分はいつになるのでしょうか。

アドバイス

今回の場合、本来各支給日に支払うべきであった割増賃金が一括して支払われたものと認められるため、本来の割増賃金が支払われるべきであった各支給日の属する年分の給与所得となります。
なお、給与規程等の改訂が過去に遡及されたことによる割増賃金の差額が一括支給される場合には、その差額について支給日が定められているときは支払われるべきであった各支給日の属する年分の給与所得となり、支給日が定められていないときはその改訂の効力が生じた日となります。
また、過去の年末調整をやり直す必要が生じますので、源泉徴収票や給与支払報告書を再提出しなければなりません。
・所得税基本通達36-9-1、36-9-3

宣伝契約に基づきプロボウラーに支払う報酬

事例

当社は製造業を営んでおりますが、プロボウラーA氏と試合出場時に当社のロゴマークをプリントしたユニフォームを使用する契約を結び
試合出場1回あたり5万円の報酬を支払うことになりました。この契約では不特定多数の者に対する宣伝的効果を意図しております。
この報酬について源泉徴収は必要なのでしょうか。

アドバイス

ご質問のプロボウラーとの宣伝契約は、そのプロボウラーが自己の業務に関して一定の役務を提供する契約と考えられます。
プロボウラーの業務に関する報酬・料金については、源泉徴収の対象となる報酬として位置づけられていますので、
「報酬・料金の額×10.21%(但し同一人に対し1回に支払われる金額が100万円を超える場合には、その超える部分については20.42%)」
で計算した金額を源泉徴収する必要があります。

単身赴任者の帰宅旅費

事例

当社では家族と離れて単身赴任をしている者に対して帰宅費用を支給し給与として所得税課税をしようと考えていますが、課税しなくてもよい場合があると聞きその要件を教えてください。

アドバイス

お考えのように帰宅費用を支給した場合には、職務上のものでは無いとして本人への給与として所得税課税の対象となります。
 しかし、単身赴任者(配偶者又は扶養家族を有する給与所得者で転居を伴う異動をした者のうち単身で赴任をした者をいう)が単身赴任先と自宅との往復費用について職務遂行上必要な旅行に付随して帰宅のための旅行を行った場合に支給される旅費については、
これらの旅行目的、行路等からみてその旅行が職務遂行上必要な旅行と認められ、かつ、その旅費が妥当な金額であれば課税しなくても差し支えないとしています。
(所得税基本通達9-3)

従って下記のような会議等の業務遂行上の必要な旅行に付随する場合に限られます。

  1. 月1回などの定期的な基準で非課税の取扱いをするものではないこと。
  2. 職務出張に付随するものであること。
  3. 帰宅日が旅行の翌日や土日休日などのであること。

以上のような制限がありますので、旅費支給状況に照らし合わせて適切に課税処理してください。

在宅勤務に係る費用負担について

事例

当社では在宅勤務を導入しており、在宅勤務手当の支給などを検討しておりますが、税務上の取扱いについて教えてください。

アドバイス

在宅勤務時の費用負担などについては、国税庁より「在宅勤務に係る費用負担等に係るFAQ(源泉所得税関係)」として取扱いが公表されておりますので、その中から一部を抜粋して紹介いたします。

  1. 在宅勤務手当の支給について

    在宅勤務の際に通常必要な費用について、その費用の実費相当額を精算する方法により、企業が従業員に対して支給する一定の金銭については、従業員に対する給与として課税する必要はないとされています。

    なお、企業が従業員に在宅勤務手当(従業員に対して毎月5,000円を渡切りで支給するような手当)を支給した場合は、従業員に対する給与として課税する必要があります。

  2. 在宅勤務に係る事務用品等の支給

    企業が所有するパソコンなど、事務用品を従業員に貸与する場合には、従業員に対する給与として課税する必要はありませんが、従業員に事務用品等を支給した場合(事務用品等の所有権が従業員に移転する場合)には、従業員に対する現物給与として課税する必要があります。

  3. 業務使用部分の精算

    企業が在宅勤務に通常必要な費用を精算する方法により従業員に対して支給する一定の金銭については、従業員に対する給与として課税する必要はないとされていますが、事務用品等の購入費用を例に挙げますと、以下の精算方法があります。

    ① 企業が従業員に対して、在宅勤務に通常必要な費用として金銭を仮払いした後、従業員が業務のために使用する事務用品等を購入し、その領収証等を企業に提出してその購入費用を精算(仮払金額が購入費用を超過する場合には、その超過部分を企業に返還)する方法

    ② 従業員が業務のために使用する事務用品等を立替払いにより購入した後、その購入に係る領収証等を企業に提出してその購入費用を精算(購入費用を企業から受領)する方法

※その他、通信費や電気料金の業務使用部分の計算や精算方法など国税庁のFAQにて公表されておりますので、ご参照ください。

「在宅勤務に係る費用負担等に関するFAQ(源泉所得税関係)」

年末調整

事例

年末調整時期を迎えますが、扶養控除に関して社員から質問が多く寄せられています。間違いやすい点についてアドバイスをお願いします。

アドバイス

従業員のご家族などが扶養控除の対象となるか否かは、原則としてその年の12月31日時点における扶養状況によって判定することとなります。しかし下記の点において間違いが起きやすいのでご注意ください。

1.扶養親族がその年の途中で仕事を辞めたケース

このケースですと、確かにその年の12月31日時点では、収入がありませんので扶養控除の対象となるようにも思えますが、実際にはその親族の年間の所得が48万円超(給与収入であれば103万円超)であれば、12月31日時点で収入がなく、扶養されている状況であっても扶養控除の対象とはなりませんのでご注意ください。尚、この際に失業保険を受けている場合であっても、この給付金は所得に含めませんので、こちらも併せてご注意ください。

1.扶養親族がその年の途中で死亡したケース

このケースでは、その年の12月31日時点で扶養判定ができませんので、死亡した日の状況で判定することとなります。ですから死亡した日までのその年の所得が48万円以下であり、かつ死亡した日において他の扶養控除の要件を充たしているのであれば、扶養控除の対象に出来ますので漏れにご注意ください。

1.社会保険上の扶養親族との考え方の違い

社会保険上は、親族のその月の収入ペースが年間130万円を超える雇用状況にあるか否かで扶養判定を行いますが、所得税の考え方では1月~12月までの所得(収入)実績が48万円(給与収入ですと103万円)を超えたか否かで扶養の判定を行います。ですので、年の後半にお子様が働き始め、社会保険上の扶養から外れている場合においても、その年間の所得が48万円(給与収入であれば103万円)以下であれば、その年は扶養控除できますのでご注意ください。


扶養控除の対象とならない親族を対象として年末調整が行われてしまった場合には、後で是正措置が入ることもありますが、上記のケースで漏れてしまっても特に是正措置は入りませんので、知らないと損をしてしまうことにもなりかねません。是非ご注意ください。

令和2年度税制改正 ひとり親控除に関する源泉徴収事務手続き

事例

令和2年度税制改正のひとり親控除の「ひとり親」とはどのような人をいうのでしょうか。
また、当社の従業員がひとり親に該当した場合、給与に係る所得税の源泉徴収手続きはどのように行えばよろしいでしょうか。

アドバイス

「ひとり親」とは、現に婚姻をしていない者または配偶者の生死の明らかでない者のうち、次に掲げる要件を満たすものをいいます。
(1)その者と生計を一にする子(他の者の同一生計配偶者又は扶養親族とされている者を除き、その年分の総所得金額、退職所得金額及び山林所得金額の合計額が48万円以下のものに限ります。)を有すること。
2)合計所得金額が500万円以下であること。
(3)その者と事実上婚姻関係と同様の事情にあると認められる者がいないこと。
なお、源泉徴収事務については、以下の通りです。

■令和2年分
月々の源泉徴収については、今回の改正に伴う変更はありません。
ひとり親控除の所得控除の計算は、令和2年分の年末調整で行うこととなります。

■令和3年1月以降
月々の源泉徴収税額(「給与所得の源泉徴収税額表」の甲欄を適用する場合)は、ひとり親に該当する場合には、扶養親族等の数に1人を加えて計算します。
なお、ひとり親控除の所得控除は年末調整で適用されます。

経営指導料の源泉徴収事務

事例

当社は、取引先X社から経営指導を受けるため、X社の使用人であるAを役員として迎え、今後2年間継続して毎月、X社に対して下記の契約による経営指導料を支払うこととしています。この場合の源泉徴収事務は当社が行うのでしょうか。

(契約内容)
Aに対する給与はX社の支給規程に基づきX社が支払うものとし、当社はX社に対して、Aに支払う給与の実際支給額に相当する金額を経営指導料として支払う。

アドバイス

X社(出向元法人)がA(出向者)に対して給与を支給しているとの契約内容ですから、その出向者Aに対する給与についての源泉徴収に関する事務は、出向元法人であるX社が出向前と同様に行えばよいこととなります。

同じ年に2か所以上から退職金を受給する場合の計算

事例

当社の役員はこの8月に退職することになりました。
この役員は親会社の役員を5月に退職しており、その際も退職金を受給しています。
この場合に当社の源泉徴収税額の計算上、勤続年数はどのように考えればよいですか。

アドバイス

同一年中に2以上の退職手当等の支払いを受ける場合には、それぞれの退職手当等について計算した勤続期間のうち最も長い期間による勤続年数で計算します。
ただし、先に支払われた親会社の退職手当等の計算基礎となった期間と重複していない期間がある場合は、この期間を最も長い期間に加算して勤続年数を計算します(1年未満の月数は切り上げます)。
また、企業年金基金や中小企業退職金共済などから先に退職手当等の受給がある場合も、2以上の退職手当等の支払いということになりますので、これを含めて源泉徴収額を計算することになります。
これは、「退職所得の受給に関する申告書」の提出を受けていることが前提になりますので注意してください。

経営コンサルタントに支払う経営指導料

事例

当社は企業経営の改善及び向上のため、個人の経営コンサルタント(居住者)に当社の経営状況について調査を依頼しました。
経営指導料として10万円で契約を交わしましたが、この経営指導料について源泉徴収は必要でしょうか?

アドバイス

この経営指導料は所得税法第204条第1項第2号の報酬・料金の内企業診断員の業務に関する報酬・料金に該当し、経営指導料が10万円であるため10.21%の税率による源泉徴収が必要です。

なお、経営指導料が100万円を超える場合は超える部分について20.42%の税率による源泉徴収が必要です。

企業診断員の範囲は以下のとおりです。
所得税法基本通達204-15:企業診断員の範囲
令第320条第2項に規定する企業診断員には、中小企業支援法に基づく中小企業診断士の登録等及び試験に関する規則(平成12年通商産業省令第192号)により登録された中小企業診断士だけでなく、直接企業の求めに応じ、その企業の状況について調査及び診断を行い、又は企業経営の改善及び向上のための指導を行う者、例えば、経営士、経営コンサルタント、労務管理士等と称するような者も含まれる。
(昭46直審(所)19改正、平13課法8-2、課個2-7改正、課法8-6、課個2-17、課審3-89、平16課法8-3改正)

役員報酬を辞退した場合の源泉所得税

事例

当社の役員は、業績悪化の責任を取り、役員報酬の受け取りを辞退することとなりました。
この場合、源泉所得税の徴収はどのようにしたらよいでしょうか。

アドバイス

役員報酬の支給日前に、受領を辞退することについて明示され、支給をしないこととなった場合は、源泉徴収の対象となりません。

しかし、すでに支給日が到来して未払となっている報酬について受領を辞退された場合は、原則として支払いの免除を受けた時点で支払いがあったものとされ、源泉徴収することとされています。
ただし、未払役員報酬の辞退が、会社の債務超過の状態が相当期間継続し、その支払いができないと認められる場合、その他特殊な事情の下に行われた場合には、源泉徴収は必要ないこととされています。

なお、法人税の所得計算においては、役員報酬の減額が業績悪化事由に該当しない場合、定期同額給与と認められないため注意が必要です。

<参考>
所得税基本通達28-10、188~223共-1、188~223共-2、188~223共-3
法人税法34条、法人税法施行令69条、法人税基本通達9-2-13

社宅にかかわる水道光熱費

事例

当社は社員用社宅を賃借し居住している社員からは家賃を徴収しています。

しかし、社宅にかかわる水道光熱費については会社契約のため、会社が負担し社員からは水道光熱費を徴収していません。このような場合、会社が負担している水道光熱費についてはその社員に対する給与になると聞きましたが本当でしょうか。

アドバイス

会社が社宅の水道光熱費を負担することにより、そこに居住する社員は経済的利益を受けることになります。そのため会社が負担した水道光熱費に相当する金額については給与として課税されることになります。

 なお、何人かが共同生活する社宅で会社の負担している水道光熱費が通常生活するために必要な程度の範囲内であり、かつ、各人ごとの使用部分の金額が明らかでない場合に限り、その経済的利益については課税しなくてもよいことになっています。

職人に支払った外注費

事例

職人に対し支払った報酬を外注費として処理していましたが、今回の税務調査で「給与」だと指摘され、給与となった分の源泉所得税を追加で納めなければならなくなりました。

アドバイス

外注費と給与の判断基準は、基本的には下記の通りに区分されます。
l 外注費 支払う報酬が請負契約、もしくはこれに準ずる契約に基づく対価
l 給与 雇用契約もしくはこれに準ずる契約に基づく対価
ただし、請負契約を結べば外注費として処理ができるとは限りません。
実際には形式上と業務の実態を総合的に勘案して判定することになります。
外注費の「業務実態」の判断基準としては、国税庁HPの通達にある、5項目があげられます。
(1)他人が代替して業務を遂行すること又は役務を提供することが認められるかどうか。
(2)報酬の支払者から作業時間を指定される、報酬が時間を単位として計算されるなど時間的な拘束(業務の性質上当然に存在する拘束を除く。)を受けるかどうか。
(3)作業の具体的な内容や方法について報酬の支払者から指揮監督(業務の性質上当然に存在する指揮監督を除く。)を受けるかどうか。
(4)まだ引渡しを了しない完成品が不可抗力のため滅失するなどした場合において、自らの権利として既に遂行した業務又は提供した役務に係る報酬の支払を請求できるかどうか。
(5)材料又は用具等(くぎ材等の軽微な材料や電動の手持ち工具程度の用具等を除く。)を報酬の支払者から供与されているかどうか。
最低限、前述の「5つの判断基準」の内容を含んだ請負契約書を作成するのが望ましいでしょう。給与と外注費には絶対的な線引きがないため、慎重に判定することをおすすめします。

納期特例の適用開始日について

事例

当社は給与の支給人員が11人でしたので、これまで給与所得にかかる源泉所得税を毎月納付してきました。しかし、先々月(8月)に2人の従業員が退職したことで支給人員が10人未満となったことから、半年ごとに源泉所得税を納めるという納期の特例を受けることとしました。

そこで、先月(9月)の内に税務署に「源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書」を提出したので、早速今月(10月)10日の源泉所得税の納付を行わなかったところ、税務署より源泉所得税の納付漏れを指摘されてしまいました。

アドバイス

確かに給与の支給人員が常時10人未満である給与支給者は、「源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書」を提出することにより、毎月の源泉所得税の納付期限を7月10日と1月20日の年2回にすることができます。しかしこの特例を受けるためには、この申請の承認を税務署から受ける必要があり、この承認は、納期の特例の申請書を提出した月の翌月末日にあったものとみなされます。

よって今回のケースでは申請書を9月に提出していることから、税務署の承認は10月末日にあったものとみなされるため、10月10日まではこれまで通り毎月納付しなければなりませんので注意が必要です。

深夜勤務者への夜食代補助

事例

私は製造業を営んでおり、受注が多い時に従業員に深夜作業をお願いしました。その際1回の深夜作業につき500円の夜食代補助を支給しましたが、税務調査の際課税の対象となる旨注意を受けました。

アドバイス

現金で食事代の補助をする場合には、深夜勤務者に夜食の支給ができないために1食当たり300円(税抜き)以下の金額を支給する場合を除き、補助をする全額が給与として課税されます。

なお、残業又は宿日直を行うときに支給する食事は、無料で支給しても給与として課税しなくてもよいことになっています。

当該事例の場合は500円の渡切であるため給与課税の対象となります。また、残業で深夜作業の場合には夜食の現物支給は課税しなくてもよいことになっていますが、勤務時間帯が通常深夜である従業員においてはその対象となりませんので注意が必要です。

従業員への、お年玉

事例

私は個人商店を営んでおり、従業員を雇っています。賞与の代わりに餅代を渡そうと考えていますが所得税法上問題は無いでしょうか。

アドバイス

 所得税法上の賞与とは、定期の給与とは別に支払われる給与等で、賞与、ボーナス、夏期手当、年末手当、期末手当等の名目で支給されるものその他これらに類するものをいいます。賞与の性質を有するかどうか明らかでない場合で次のようなものは賞与に該当するものとされます。(事前確定届出給与・利益連動給与は除きます。)

(1)純益を基準として支給されるもの
(2)あらかじめ支給額又は支給基準の定めのないもの
(3)あらかじめ支給期の定めのないもの。ただし、雇用契約そのものが臨時である場合のものを除きます。

 この要件にあてはまる場合は「賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表」から源泉徴収税額を算出することとなります。あてはまらない場合も給与に該当しますので、源泉徴収を行います。[タックスアンサーNo.2523 賞与に対する源泉徴収]

非居住者等からの土地の譲受対価にかかる源泉徴収

事例

 私はサラリーマンですが、副業としてアパート経営をしようと考え、建築用地を探していたところ、適当な場所が見つかりましたが、所有者が米国に居住して30年以上の方でした。

 非居住者から不動産を購入する場合は、個人でも源泉徴収して納税しなければならないと聞いたのですが、本当でしょうか?また税率は何%ですか?

アドバイス

 非居住者や外国法人(以下「非居住者等」といいます。)から日本国内にある土地等を購入して、その譲渡対価を国内で支払う者は、非居住者等に対して対価を支払う際に、10.21%の税率で、所得税及び復興特別所得税を源泉徴収しなければなりません。ここでの源泉徴収の対象となる「土地等」の範囲には、土地又は土地の上に存する権利、建物及びその付属設備、構築物が含まれます。

 源泉徴収義務者には「土地等の譲渡対価の支払をする者」のすべてが含まれていることから、給与の支払者であるかどうかは問わず、一般のサラリーマンなども非居住者等に対して土地等の譲渡対価を支払った場合には、原則として源泉徴収義務者になります。

 ただし以下のすべての条件を満たせば源泉徴収の必要はありません。

 ① 買主が個人であること。
 ② 自己またはその親族の居住の用に供する目的で購入すること。
 ③ 売買金額が1億円以下であること。

 したがって買主が法人であれば目的、金額を問わず源泉徴収しなければなりません。普通のサラリーマンでもアパートの建設用地であればやはり徴収して納付することが必要となりますので、ご注意ください。

使用人に対する住宅等の貸与にかかる経済的利益

事例

 当社では、他から借り上げたマンション5部屋を社宅として使用人に貸与することを予定しています。

 社宅を使用人に貸与している場合は一定額以上を家賃として徴収していないと、経済的利益があったものとして給与課税されるとのことですが、どの程度の賃貸料を徴収すれば課税されないのでしょうか。

アドバイス

 社宅を使用人に無償で貸与する場合には、住宅等の「賃貸料相当額」が給与として課税されます。社宅賃貸料として御社が受け取っている金額が「賃貸料相当額」に満たない場合には、その差額に相当する額が給与として課税されることになります。

 しかし、使用人から受け取っている家賃が「賃貸料相当額」の50%以上であれば、受け取った家賃と「賃貸料相当額」との差額は、給与として課税されません。

 ここで基準となる「賃貸料相当額」の金額は、その住宅等が自社所有か、いわゆる借り上げ社宅であるかどうかにかかわらず、次の(1)~(3)の合計額となります。

 (1) (その年度の建物の固定資産税の課税標準額)×0.2%
 (2) 12円×(その建物の総床面積(平方メートル)/3.3(平方メートル))
 (3) (その年度の敷地の固定資産税の課税標準額)×0.22%

 したがって、御社のように他から借り上げたマンションを社宅として貸与する場合も、まずは貸主等から固定資産税の課税標準額などを確認して「賃貸料相当額」を計算し、その金額の50%以上を家賃として受け取れば給与として課税されません。(所法9、36、所基通36-15、36-41、36-45、36-47)

非居住者である役員の国外勤務

事例

 当社は海外から商品を買い付けて国内で小売販売をする業務を営んでいます。
 取締役Aはアメリカ合衆国のニューヨーク支店に3年の予定で常駐し、現地の業務を統括管理しています。このAに支払う給与について国内の本社から支払っており、国外源泉所得として取り扱っていたところ、源泉徴収が必要との指摘を受けました。

アドバイス

 非居住者が受け取る給与は、たとえその給与が日本にある本社から支払われていても勤務地が外国である場合、原則として日本の所得税は課税されません。

 しかし、同じく海外支店などに勤務する人であっても日本の法人の役員の場合には、その受け取る給与については取扱いが異なります。この場合には、その給与は、日本国内で生じたものとして、支払を受ける際に20.42%(所得税20%、復興特別所得税0.42%)の税率で源泉徴収することとなります。

 なお、役員の給与に対する課税の取扱いについては、多数の国と租税条約を結んでおり、租税条約に異なる取扱いがあるときは、その取扱いが優先することになっていますのでご注意ください。

就任5年以内の役員退職金

事例

 この度、当社の役員が退職することとなり、役員退職慰労金として300万円を支払うこととしました。この役員は役員就任4年半であったため、下記の通り退職所得の計算を行い源泉税の納付を行いました。

 {300万円―(40万円×5年)}× 1/2 = 50万円

 しかし、先日の税務調査において、役員等勤続年数が5年以内であることから、退職所得の計算について誤りを指摘されました。

アドバイス

 役員としての勤続年数が5年以下の場合には、その役員勤続年数に対応する退職金の退職所得の計算上2分の1とする措置はないので注意が必要です。よって今回のケースにおいては、下記の算式で退職所得の計算を行うこととなります。

300万円―(40万円×5年)= 100万円

老人扶養親族について

事例

 私はこれまで親と同居し扶養していたため、扶養控除の適用を受けていましたが、その親が現在長期入院をしています。この場合の扶養控除の額を教えてください。尚、親の年齢は75歳です。

アドバイス

 一般の控除対象扶養親族(16歳以上18歳以下の人または23歳以上69歳以下の人)を扶養している場合の扶養控除額は38万円となりますが、その控除対象扶養親族の12月31日現在の年齢が70歳以上でかつ、同居老親等に該当する場合の控除額は58万円となります。

 同居老親等とは、本人またはその配偶者の直系の尊属でかつ、いずれかと同居をしている人を言いますが、病気の治療のための入院である限り、その期間が結果として1年以上といった長期の場合であっても、同居に該当するものとして取り扱って構いません。そのため、今回のケースでは同居として取り扱われ、同居老親等として58万円の控除を受けることができます。

 尚、老人ホーム等に入所している場合には、その老人ホームが居所となり同居しているとは言えませんので、控除額は48万円となります。

賞与に対する源泉所得税

事例

 当社は業績が好調なことから、この度パート社員に対しても例年よりもかなり多めのボーナスを支給することとなりました。いつも通り、前月の給与から社会保険料等を差し引いた金額について「賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表」に当てはめて源泉徴収税額を計算していましたが、この度の税務調査において何人かの源泉徴収税額の計算が違うとの指摘を受けました。

アドバイス

 賞与に対する源泉所得税は、下記の通り例外的な計算方法を用いることがありますので注意が必要です。

① 前月の給与の金額(社会保険料等を差し引いた金額)の10倍を超える賞与(社会保険料等を差し引いた金額)を支払う場合

  イ   (賞与から社会保険料等を差し引いた金額)÷6
  ロ    イ+(前月の給与から社会保険料等を差し引いた金額)
  ハ    ロの金額を「月額表」に当てはめて税額を求める。
  ニ    ハ-(前月の給与に対する源泉徴収税額)
  ホ    ニ×6

② 前月の給与の支払いがない場合

  イ (賞与から社会保険料等を差し引いた金額)÷6
  ロ   イの金額を「月額表」に当てはめて税額を求める。
  ハ   ロ×6

いずれも「月額表」を用いての計算となります。
尚、賞与の算定期間が半年を超える場合には、(賞与から社会保険料等を差し引いた金額)を12で除して同じ方法で計算し、その金額を12倍したものが源泉徴収税額となります。 

シルバー人材センターから受ける報酬の取り扱い

事例

 私は、今年永年勤めていた会社を退職し、市の「シルバー人材センター」に登録しました。「シルバー人材センター」から提供された仕事をし、報酬を受ける場合、税務上の取り扱いはどのようになるでしょうか。

アドバイス

 シルバー人材センターと登録された会員との間には直接の雇用関係はなく、登録された会員は、シルバー人材センターが引き受けた仕事を請負又は委任の形式によって提供を受け、行った仕事の内容と就業の実績に応じて報酬を受けるという関係にあります。

 したがって、受けた報酬については、給与所得に該当せず、事業所得又は雑所得になります。また、源泉所得税の対象とはならず、報酬を受ける際に源泉所得税は控除されません。


 所得計算に当たっては、シルバー人材センターに対して継続的に人的役務の提供を行うことを業務としていることになりますので、租税特別措置法施行令第18条の2第1項の「特定の者に対して継続して人的役務の提供を行うことを業務とする者」に該当し、必要経費の計算について「家内労働者等の事業所得等の所得計算の特例」が適用されます。

 「家内労働者等の事業所得等の所得計算の特例」とは、家内労働者等に該当する者の有する事業所得又は雑所得の計算上必要経費に算入する金額について、原則として65万円を最低保障するというものです。

生命保険料控除を受けるための書類の提出について

事例

 年末調整において、従来から少額の生命保険料については保険料控除申告書の記載のみで調整を行っていましたが、証明書類の提出又は提示が無いものについては控除を受けられないと指摘を受けました。

アドバイス

 平成23年以前に結んだ契約(旧生命保険料契約)については保険料が一契約につき9,000円を超える場合に証明書類の提出又は添付が求められていたため、一契約につき保険料が9,000円を超えない場合には、証明書類の提出・添付に関わらず生命保険料控除の適用を受けることが出来ました。


 しかしながら、法改正により平成24年以後に契約した生命保険に係る生命保険料控除については金額に関わらず証明書類の提出又は添付が求められています。年末間際に契約した場合などで、当年分の保険料が少額だからといって、この確認作業を怠らないようにして下さい。

賄い食事の提供について

事例

 当クリニックは、有床診療所であり入院患者への食事提供があります。そして賄い食事を希望する従業員に対しては実際の食事代よりも低い料金で食事を提供してきましたが、この度の税務調査により源泉所得税の対象になるとの指摘を受けました。

アドバイス

 事業者が役員や従業員に食事を提供する場合には、下記の要件の両方を満たさなければ、給与課税の対象となり、源泉徴収が必要となりますので注意が必要です。

  1. 食事の提供を受けた役員や従業員が、その食事の価額の半分以上を負担していること
  2. 「食事の価額」から「役員や従業員等が負担した金額」を差し引いた金額(a)が、1人につき1か月で3,500円(税抜き)以下であること

 上記の要件を満たしていない場合には、(a)の金額が給与として課税されることとなります。


 但し、残業や宿日直を行う従業員等に対して食事を提供した場合には、給与課税の対象となりません。

特定の者のみが被保険者となる定期保険

事例

 当社は、従業員Aについて契約者を当社、被保険者を従業員A、保険金受取人を従業員の遺族とする定期保険の契約を締結し、支払った保険料を費用として計上をしていましたが、税務調査の際に、保険料ではなく従業員Aに対する給与となり、源泉徴収の対象であると指導を受けました。

アドバイス

 原則として保険契約者を当社、被保険者を従業員、保険金受取人を従業員の遺族とする契約の定期保険の保険料は、一種の福利厚生費の性質をもつものとなります。

 しかし、被保険者が役員又は部課長その他特定の従業員のみとなった場合には、当社が支払った保険料はその役員や従業員に対しての給与とみなされます。その給与(保険料相当額)は源泉所得税の課税の対象となり、源泉徴収を行わなければなりません。

居住用の自宅不動産の譲渡

事例

 7年前に購入した一戸建て住宅を売却して都内のマンションへの住み替えを考えています。かなりの売却損が出る見込みですが税金面の取り扱いなどで注意点とかあるのでしょうか。

アドバイス

 個人の不動産売買が主に影響するのは所得税です。不動産の売却損は基本的に他の所得との相殺(通算)は認められず、売った年に他の不動産の譲渡益がある場合だけ相殺できます。しかし、居住用の自宅不動産は一定の条件で給与など他の所得から損失を差し引けます。引ききれなかった額は翌年以降、3年間繰り越せます。売却損が発生する場合は給与など他の所得が高い時期が有効な場合があります。給与などで引かれた税金との損益通算と繰越控除が可能になる場合があります。この制度を使うには家の所有期間が5年超で、買い替え先の家に10年以上のローンがあることなどが必要です。また、買い替え後もローンを組むつもりであれば条件は満たします。所有期間5年超という仕組みは要注意です。単純に買ってから売るまでの期間ではなく、譲渡する年の1月1日現在でみて所有期間が5年超あるかどうかが目安になります。

転職者の年末調整

事例

今年、転職してきた社員に前職の源泉徴収票の提出を求めたところ「提出ができない」とのことだったので、当社の給与分だけで年末調整を行うこととしましたが、よろしいでしょうか?

アドバイス

その年に支給を受けた前職の給与があるにもかかわらず、その者から源泉徴収票の提出が受けられない場合には、年末調整はできません。

よって年末調整をせずに当社分のみの源泉徴収票をその転職者に交付し、その転職者には確定申告をする必要がある旨を教えてあげてください。

詳しくは下記の通り国税庁のHPでも紹介されています。


https://www.nta.go.jp/taxanswer/gensen/2674.htm

海外旅行の費用負担について

事例

当社では昨年まで国内慰安旅行を実施しておりましたが、業績好調のため今年は海外に行くこととなりました。今回の海外慰安旅行の費用について、給与課税の必要はありませんか。

アドバイス

会社が従業員等のレクリエーションのために行う慰安旅行の費用を負担することにより、旅行に参加した従業員等が受ける経済的利益の取り扱いについては、その旅行の目的、参加割合、負担額等を勘案して、総合的に判断することとなりますが、次のいずれの要件も満たしている場合には、原則として、給与課税しなくて差し支えないこととされています。

  1. 旅行の期間が4泊5日以内であること。(海外旅行の場合には、海外での滞在日数が4泊5日以内であること。)
  2. 旅行に参加した人数が全体の人数の50%以上であること。(工場や支店ごとに行う旅行は、それぞれの職場ごとの人数の50%以上が参加することが必要です。)

今回のケースが上記の要件を満たしていれば、原則として給与課税の必要はありません。ただし、これはあくまで社会通念上一般的に行われる旅行に限られますので、その旅行に係る経済的利益の額があまりに多額となる場合には、給与課税の必要が出てきます。

結婚祝金が多額な場合の課税関係

事例

当社は住宅販売会社です。社員が結婚した場合に、社内規定に基づき祝金を贈ることがあります。当社でも今回、社内規定により祝金1万円贈る予定でした。ところが、その社員は販売成績優秀な模範たる社員であり、社長の判断で祝金5万円を贈ることになりました。

アドバイス

祝金については、原則的には給与等に含まれ所得税の課税対象となりますが、その金額が社会通念上相当額であると認められる場合には所得税の課税対象としなくてもよいとされています。社員に贈った祝金の金額が多額で認められないとされた場合、その全額が所得税の課税の対象となります。祝金5万円から、1万円相当を引いた残りに対して所得税を課税する事はできません。これはこの規定が、もともとは給与等として所得税の課税対象となるものを、社会通念上相当額と認められるものについては課税しなくてもよいというものであり、超える部分について課税するというものでは無いためです。明らかに多額な祝金を贈る場合には源泉徴収の金額に注意してください。

非居住者に対する不動産賃借料金

事例

当社は、事務所用地を個人から借りていました。

昨年その貸主の方がお亡くなりになり、海外にお住いの息子さんがその土地を相続することとなったので、その方と改めて同じ内容で土地の賃貸借契約を結び、指定口座への支払いをしておりました。

しかしこの度の税務調査により、非居住者に対する源泉徴収をするように指摘を受けました。

アドバイス

これまでと同じ内容で、土地の賃貸借契約を引き継げたとしても、その相手方が非居住者である場合には、非居住者に対して支払う不動産の賃貸料等として20.42%の源泉徴収を行わなければなりません。

またこの源泉徴収をした所得税については、給与等と異なり「非居住者・外国法人の所得についての所得税徴収高計算書」を用いて、支払った翌月10日までに納付しなければなりませんのでご注意ください。

また、1月に提出する法定調書も「非居住者等に支払われる不動産の使用料等の支払調書合計表」を用いることとなりますので併せてご注意ください。

定年前退職者等に支給する転進助成金

事例

退職後に再就職しようとする社員に助成策として転進助成金制度を導入し、社員が転進後(退職後)の職業に役立つ資格、技能を習得するために受講又は受験した社外講座、試験に要した費用を支給しようと思っています。

この転進助成金を受ける社員の課税上の取り扱いはどうなりますか?

アドバイス

この場合の転進助成金は、給与所得又は雑所得に該当します。

○退職前(雇用関係継続中)に支給が確定する場合
 雇用関係に基づいて受ける給付ですから、給与所得に該当します。

○退職後(雇用関係終了後)に支給が確定する場合
 退職に基因して支払われるものではなく、また、本制度の対象となる講座や試験に該当しなければ助成は受けられない(転進後の就職に役立つことを目的として一定の受講等に要した費用を支弁するものです。)ことから退職所得、及び一時所得のいずれにも該当しないので、雑所得に該当することとなります。

なお、この転進助成金は、使用者の業務遂行上の必要に基づき、使用人としての職務に直接必要な資格、技術の習得を目的としたものではないため、非課税とはなりません(所得税基本通達9-15)。

株主代表訴訟に係る費用負担

事例

株主代表訴訟の弁護士費用等を会社が負担してよいものか検討中です。もし役員が敗訴した場合は給与として課税されると聞いたのですが本当でしょうか。

アドバイス

株主代表訴訟とは、会社が取締役の会社に対する責任を追及しない場合に、株主自身が会社のために取締役の責任を追及する訴訟をいいます。

会社の役員は、株主から損害賠償請求訴訟を提起された場合に、その訴訟が勝訴又は敗訴にかかわらず争訟費用及び損害賠償金を自ら支払わなければなりません。これらの費用を会社が負担したときは、次のとおりです。

  1. 役員勝訴の場合
    当該役員の職務が適正に遂行されていることが確認されたものであるため、その全額が損金となり、役員に対する課税は行われません。
  2. 役員敗訴の場合
    当該役員は過失等により会社に損害を与えたことが確認されたものであるため、その全額が当該役員に対する給与(役員賞与)とされ、かつ法人の所得金額の計算上損金不算入とされます。

弁護士等に支払った交通費等

事例

当社の地方支店の紛争案件の相談のため顧問弁護士に、その地方支店まで出張してもらい打合せを行いました。顧問弁護士からは、その報酬とともに交通費・宿泊代を請求され支払いました。その際、報酬部分についてのみ源泉徴収の対象としたところ、交通費等の部分についても源泉徴収の対象とすべきであるとの指摘を受けました。

アドバイス

源泉徴収の対象となる報酬を、車代・旅費・日当等の他の名目で支払った場合でも実質的に報酬・料金に該当すれば、源泉徴収の対象としなくてはなりません。(所法36②、所基通204-2)

実費弁償の旅費などは給与所得者が使用者から支払われる場合のみ非課税となります。しかしながらこれら旅費は当然に実費弁償に充てられるものですので、弁護士に交付しないで、報酬等の支払者から直接鉄道会社やホテル等に支払われ、その金額が通常必要であると認められる範囲内の金額であれば、源泉徴収をしなくても差し支えありません。(所基通204-4)

人間ドックの費用について

事例

A社では、年1回、2日間の人間ドックを社内規定により年齢40歳以上の役員及び使用人を対象にして、検診を実施することにしました。この人間ドックによる検診費用は、1人当たり約5万円かかりますが、全額当社で負担します。

なお、本人の希望などにより受診しなかった者については、人間ドック検診費用の7割相当額の3万5千円を現金で支給することにしています。

3万5千円を現金で支給した場合、人間ドック検診と同じように福利厚生として考えてもいいでしょうか?

アドバイス

使用者が負担した健康診断費用に係る経済的利益については、原則として役員又は使用人に対する給与として課税されますが、次のような条件を満たしている場合には、課税しなくても差し支えないこととされています。

  1. 全従業員又は一定年齢以上の者がすべて対象となること。
  2. 検診内容が健康管理上の必要から一般に実施される2・3日程度のものであり、その経済的利益の金額が著しく多額でないこと。

A社の場合、1人当たりの検診費用が5万円程度であれば、著しく多額であるとは認められませんから、指定日に受診した者については課税されません。ただし、現金支給された者はたとえ後日検診を受けたとしても、金銭での支給ですので給与として源泉徴収の対象となります。

従業員に対する自社製品の値引販売

事例

社員向けセールとして商品を従業員に原価で販売していたところ、
今回の税務調査で従業員への給与として源泉徴収の対象になると指摘されました。

アドバイス

社内割引すべてが認められないわけではありませんが、社員への利益供与の度合いが高すぎると給与として認定されてしまいます。
そこで以下の要件を全て満たす販売であれば、給与として所得税の課税関係は生じないものとされています。

  1. 値引販売の価額が、使用者の取得価額以上で、しかも、通常他に販売する価額のおおむね70%以上であること
  2. 値引率が、役員や使用人の全部について一律に、又は役員や使用人の地位、勤続年数等に応じて全体として合理的なバランスが保たれる範囲内の格差により定められていること。
  3. 値引販売をする商品等の数量が、一般の消費者が家事のために通常消費すると認められる程度のものであること。

年末調整での非居住者であった期間内の社会保険料控除

事例

海外勤務から帰国し居住者となった社員に、海外勤務時の非居住者期間時に留守宅渡しの給与を支払い、その際に社会保険料を控除しました。
この社員の年末調整でこの社会保険料の控除をおこなっていたが、社会保険控除の対象ではないと指摘を受けました。
また非居住者であった期間内に支払った生命保険料も生命保険料控除の対象にはならないと指摘を受けました。

アドバイス

社会保険料控除は、居住者に該当する時点でその年に支払ったものが控除の対象となり、非居住者であった期間内の給与から控除した社会保険料は控除の対象とはなりません。

また生命保険料についても同様です。

ただし年払いの場合はその支払の時点が居住者であれば支払額の全額が生命保険料控除の対象となります。

海外渡航費

事例

当社は製造業を営んでおります。このほど同業者組合が主催する海外の工場の視察旅行に参加し、その旅程5日のうち1日の観光以外は視察のためにあてられていたため、かかった費用の全額を旅費で処理したところ、その処理には問題があるとの指摘を受けました。

アドバイス

視察の機会に併せて観光が行われる場合、その視察が社会通念上業務の遂行上必要なものであれば、旅行日程の区分による業務従事割合を基礎として「損金等算入割合」を使い、旅行に通常要する費用に乗じて旅費として処理する金額を算出します。

(算式)視察等の業務に従事した日数/視察等の業務に従事した日数+観光を行った日数
ただし、

  1. 損金等算入割合が90%以上となる場合、全額を旅費として処理します。
  2. 10%以下となる場合は旅費として処理できません。
  3. 50%以上の場合、その旅行に通常要する費用の額を「往復の交通費」と「その他の費用」に区分し、「その他の費用」×損金等算入割合と「往復の交通費」全額を旅費として処理します。

旅費として処理できなかった金額はその参加者に対する給与と認められる場合、現物給与として源泉徴収を要します。また「日数」の区分については専門家にお尋ねください。
(法基通9-7-6、9-7-9  平12.10.11課法2-15、課所4-24、査調4-29)

個人年金保険契約の生命保険料控除について

事例

年末調整において、社員が扶養親族である子供を受取人とした個人年金保険契約に係る保険について、保険料等を保険料控除申告書に記載し、控除証明書の添付をしていたので、生命保険料控除の対象として年末調整の計算を行っていました。

後日、税務調査においてこの保険契約では生命保険料控除の適用を受けることはできないとの指摘を受けました。

アドバイス

個人年金に係る生命保険料控除を受けるための要件として、受取人は本人又はその配偶者となっていること、保険料払込期間が10年以上であること、年金の受取は60歳以後で10年以上の定期年金又は終身年金であることが挙げられます。

事例の場合、受取人が子供であることから要件を満たさず生命保険料控除の適用は受けることができません。
生命保険料控除の適用を受けるための受取人の要件は、一般の生命保険料については、本人及び配偶者のみならずその他の親族が含まれるのに対し、個人年金保険料については、その他の親族は含まれないことに注意が必要です。

日給アルバイトの丙欄適用

事例

当社は忙しい時期だけ日給8,000円で日雇いのアルバイトを採用し、源泉徴収せずに支給しておりました。

その後、また業務が立て込んだので同じ人に声をかけて同じく日給8,000円でアルバイト料を払い、源泉徴収していなかったところ、税務調査において、雇用期間が2か月を超えているので、「日額表」の「甲欄」または「乙欄」で源泉徴収するように指導を受けました。

アドバイス

日雇いアルバイトに給与を支払う場合であっても、原則として「給与所得の源泉徴収税額表」の「日額表」の「甲欄」又は「乙欄」を用いて源泉徴収税額を算定します。

しかし、①雇用契約期間が2か月以内と定められている場合、又は②雇用契約期間を定めていなくても継続して2か月を超えていない場合には「日額表」の「丙欄」を用いて計算することとなります。

今回の事例のように再雇用であっても結果的に契約期間が2か月を超えた場合には再雇用以降「日額表」の「丙欄」を使うことができませんので注意が必要です。丙欄の適用であれば、「扶養控除等申告書」の取り付けは不要ですが、2か月を超える場合など丙欄の適用がなくなる際には「扶養控除等申告書」を取り付けるようにしましょう。

給与所得者の扶養控除等申告書の提出について

事例

当社は、小売業を営む社員30人ほどの会社です。平成23年6月に税務調査を受けました。

毎月の給与計算をする上で、全社員について甲欄を適用し源泉所得税額を算出していましたが、平成22年11月末に入社した社員と、平成21年5月に退職し、翌年22年4月に再度入社した社員について、平成22年分給与所得者の扶養控除等申告書の提出がないことが判明しました。

調査官は申告書の提出のない者について支給した給与に付いては乙欄で計算して源泉徴収すべきですと指摘を受けました。

アドバイス

給与所得者の扶養控除等申告書は給与の支払を受ける人(給与所得者)が、その給与について配偶者控除や扶養控除、障害者控除などの控除を受けるために行う手続です。

提出時期はその年の最初に給与の支払を受ける日の前日(中途入社の場合には、入社後、最初の給与の支払を受ける日の前日)までに提出します。国内において給与の支給を受ける居住者は、控除対象配偶者や扶養親族の有無にかかわらず原則としてこの申告を行わなければなりません。

また、当初提出した申告書の記載内容に異動があった場合には、その異動の日後、最初に給与の支払を受ける日の前日までに異動の内容等を記載した申告書を提出します。

この申告を行わない場合は、月々(日々)の源泉徴収の際に受けることのできる諸控除が受けられず、また年末調整も行われないことになります。

また、2以上の給与の支払者から給与の支払を受ける場合には、そのいずれか一の給与の支払者に対してのみ提出することができます。なお、適用される税額表が日額表の丙欄とされる人は、この申告書を提出する必要はありません。

監査役に付与したストックオプション

事例

当社では昨年、創業者の親族である監査役に対し、譲渡不可の新株予約権を無償にて付与いたしました。

この度当監査役は権利を行使し、1株当たり1,000円で取得(時価1,200円)いたしました。税制適格ストックオプションに該当するものと考え、行使時点では何ら課税関係は生じないこととして処理いたしましたが、税務調査において税制非適格であるとの指摘を受けました。

アドバイス

権利行使により取得した株式が譲渡されるまで課税が繰り延べられる、所謂「税制適格ストックオプション」とは次の要件を満たしていることが必要です。

①付与対象者要件

株式会社または株式会社がその発行済株式(議決権があるものに限る)総数の50%超を直接又は間接に保有する関係等を有する法人の取締役、執行役若しくは使用人である個人であること(一定の大口株主等を除く)

②発行内容要件

  1. 権利行使は付与決議の日後2年を経過した日からその付与決議の日後10年を経過する日までの間に行わなければならないこと。
  2. 権利行使価額の年間の合計額が1,200万円を超えないこと。
  3. 1株あたりの権利行使額はストックオプション権利付与契約締結時におけるその株式1株あたりの価額相当額以上とされていること。
  4. 新株予約権については、譲渡をしてはならないこととされていること。
  5. 権利行使により取得する株式は、一定の方法によって金融商品取引業者等の振替口座簿等に記載がされること。(保管委託等されること)また、付与翌年の1月31日までに税務署への支払調書の提出が必要となります。

事例の場合、監査役は①の対象者である取締役等に非該当であり、行使の日が②-1)の2年経過以前であったためと考えられます。従ってこのケースでは行使をした監査役本人には給与所得として経済的利益の額が課税されます。また、法人では権利行使時に役務提供費用が役員給与(臨時のため定期同額給与外、損金不算入)となります。その役務提供費用の額は、その新株予約権の発行時における公正な評価額とされています。

死亡後に支払った退職金

事例

従業員が定年を迎え、退職金を支給することになりましたが、退職後まもなく交通事故で死亡しました。そこで遺族に退職金を支給しました。この退職金は相続税の課税対象となると考え所得税の源泉徴収をしませんでした。

後日税務調査があり、、退職所得として所得税の源泉徴収が必要であると指摘を受けました。

アドバイス

退職手当金等は支給すべきことが確定した時期に応じて取扱方が変わります。この事例の場合、その従業員の死亡前に退職金が確定していたので、通常通り退職所得として源泉徴収の対象となったと考えられます。また、この事例以外でも次のように取扱方が変わりますのでご注意下さい。

  1. 死亡後3年以内に支給すべきことが確定したものについては、相続税の課税対象とされ、所得税は課されません。
  2. 死亡後3年経過後に支給すべきことが確定したものについては、遺族の一時所得とされます。源泉徴収の必要はありません。

家族の社会保険料

事例

当社は経理部が社員の年末調整を行っています。

数人の社員が、扶養家族である子供の年金保険料を保険料控除申告書に記載していましたので、その分についても社会保険料控除を適用して源泉所得税の還付をしていたところ、扶養家族に関する国民年金保険料であっても、その扶養家族名義の口座から自動引き落としされている場合には親の方で社会保険料控除を受けられない旨を指摘されました。

アドバイス

生計を一にしている家族の分の社会保険料を支払った場合には、それが本人の分でなくても、その支払った人の所得税の計算において、社会保険料控除を受けることができます。

この適用はあくまで支払った人について適用があるため、口座引落の場合には、その口座名義人が支払ったものと見られ、その分は他の家族の計算上、社会保険料控除が受けられませんので注意が必要です。

ですので、もし他の家族の方で社会保険料控除を受けたい場合には、口座引落にしないことをお勧めいたします。

このことは国税庁のHPにも出ておりますので、参考になさってください。

役員のみの人間ドック費用

事例

当社では毎年健康管理の一環として健康診断を義務づけていますが、役員については2泊3日の人間ドックを検診させています。その検診費用は一人約15万円かかりますが、全額を会社で負担していましたが、今回の税務調査で人間ドック費用は役員に対する給与として源泉徴収が必要だと指摘され納付することになりました。

アドバイス

健康診断費用は全役員・使用人又は一定年齢以上の者がすべて対象になっていて、健康診断費用が多額でない場合には、所得税を課税しなくても差し支えないことになっていますが、今回の場合人間ドックが役員のみ対象であり一人約15万円の費用が多額であると判断され源泉徴収が必要だと判断されたものと思われます。

今後は役員のみと限定せず一定年齢以上の者を対象とした人間ドックで、一人あたりの費用が多額(約5万円程度)でないものへの変更を検討するようにして下さい。

社長親族に支給した学資金

事例

当社は日用品の輸出入業を行っている関係で、社長の子息が会社に入社するにあたり将来の幹部として語学を学ばさせるため、大学在学中に1年間の海外留学費用を学資金として支給し福利厚生費として経理していましたが、このたびの税務調査でこの学資金は社長の子息だからこそ支出したのである為、社長への給与として源泉徴収漏れを指摘されました。

アドバイス

役員又は使用人に職務に直接必要な技術や知識を習得させるための研修会や講習会等の費用を会社が負担した場合には適正なものに限り所得税を課税しなくても差し支えないことになっていますが、役員又は使用人の子弟の修学のための学資金として支給されたものは、その役員又は使用人の給与として課税することになっていますので、今回の場合社長の子息という特別な身分関係によって支出されていますので、臨時の給与として社長に対する役員賞与として源泉所得税の徴収が必要になります。

役員又は使用人の子弟に学資金を支給する場合にはその役員又は使用人に対して源泉徴収が必要になりますので注意が必要です。

残業食事代

事例

当社は精密機械を製造するメーカーですが、取引先への納期が迫っている場合に従業員が残業をした時に夕食代を現金で支給し福利厚生費として経理処理をしていました。

今回税務調査を受けた時に残業時の食事代とはいえ、現金での支給は従業員への給与として源泉徴収の対象になると指摘され、源泉所得税の追加納付をしました。

アドバイス

残業した際に支給する食事については課税しなくても差し支えないとされていますが、現金で支給した場合はその支給が食事そのものでないため、支給した本人への給与手当の一種として取扱われますので、源泉徴収の必要がでてきます。

従って今後は、現金での支給ではなく出前や弁当を購入するなどして食事そのものを支給するようにして下さい。

選択できる永年勤続記念品

事例

当社では永年勤続者表彰に当たり、置時計を記念品として支給しています。しかし表彰対象の従業員が置時計は間に合っているとのことでしたので、置時計と同じ金額の範囲内で品物を選択させ、その希望の品物を会社で購入し、それを代わりに永年勤続者表彰記念品として支給しました。しかし、税務調査において非課税対象の永年勤続記念品には該当しないとして源泉徴収漏れを指摘されました。

アドバイス

品物の支給はその金額の大小にかかわらず、原則給与等として課税されます。しかし、永年勤続記念品については、社会一般的に行われているものとして、以下の要件を満たすものに限り、例外的に課税されないこととされています。

  1. 市場への売却性、換金性がないこと。
  2. 品物の選択性がないこと。
  3. その金額が多額となるものでないこと。

低利による住宅取得資金の貸付

事例

当社では社内規程により住宅取得資金を低利にて従業員に対して貸付をし、租税特別措置法第29条により現物給与として課税せずにおりましたが、確認したところ、半年ほど前からその住宅を他人に対して貸付ていることが解り、措置法の適用は受けられないとして半年間遡って追加徴収を求められました。

アドバイス

従業員に対する住宅取得資金の低利貸付の経済的利益の課税の特例は、その者の居住の用に供する住宅等の取得に要する資金に充てられるものに限ります。よって、今回のようにその住宅を他人に譲渡又は貸付けた場合においては、特例の適用がなく居住の用に供さなくなった日以降の期間に対応する経済的利益は給与として課税されることとなります。

この経済的利益は原則として次のようになります。

  1. の貸付資金が他から調達したものである場合
    (その調達資金の金利率によって計算した金利)-(その従業員が負担した金利)
  2. 1以外の場合
    (貸付を行った日の属する年の前年の11月30日を経過する時におけるいわゆる公定歩合に年4%の利率を加算した利率によって計算した金利)-(その従業員が負担した金利)

従ってこの事例では上記に従い、過去に遡及して経済的利益に対して所得税の源泉徴収をすることとなります。この措置法の特例を受けた場合、定期的に本人に対する確認業務が重要となりますので、転居届けや、扶養控除申告書などで十分確認することとして下さい。

事務員服の支給

事例

当社では、事務員に対し事務服を着用させていましたが事務員が一人という事もあり、本人に好きな事務服を選んでもらう為、一定額を現金で渡し事務服を購入してもらっていましたが、後日領収書での精算をしていませんでした。税務調査において、給与所得とされ源泉所得税が追徴されました。

アドバイス

職務の遂行上、制服等を着用する場合に対しての支給又は貸与については、所得税法上は非課税とされています。しかし今回の事例は、制服等の支給又は貸与に代えて金銭を支給したために給与所得とされました。金銭の支給は、後日実費精算されない場合には金額の多少にかかわらず給与所得とされますので注意が必要です。

従業員へ支払う寸志等

事例

当社では、全従業員を対象に毎月一定額以上の売上高を達成した人に、寸志として1万円を現金で支給し、福利厚生費として処理していましたが、今回の税務調査で給与所得課税との指摘を受け、対象者は再度年末調整を行い源泉所得税の修正納付をしました。

アドバイス

給与所得とは棒給、賃金、歳費、賞与のほか、これらの性質を有するものをいいます。従って今回の場合、雇用契約等に基づいて支給される慶弔金などとの違い、業務成績により支給対象となる寸志(報奨金)は給与所得として、源泉所得税の対象となりますので、支給金額にかかわらず給与計算時に給与課税対象として源泉徴収事務を行うようにして下さい。

部課ごとに行われるレクリエーション費用

事例

当社は社員数が大勢いるため年に一回部署ごとにレクリエーションを行っていました。一人あたりの金額は会社で定めた金額を負担していましたがその使途については特に報告を求めていなかった為、その費用は源泉所得税の対象になるとの指摘を受けました。

アドバイス

会社全体でのレクリエーションが行えないため部署ごとに行うことはよくありますがその場合でも、(1)一人あたりの金額が公平であること(社内規定があることが望ましいです)(2)必ず領収書等を添付した報告書を提出させること、(3)金額に余剰が出た場合には会社に返金させること、等によりレクリエーション費用を源泉所得税の対象としないことができますので今後は負担した金額の使途も明確にするように社内規定を整備するようにしましょう。なおレクリエーション費用とはいえその回数、一人当たりにかかる費用総額など一般社会通念上の常識から見て逸脱してはならないことは言うまでもありません。

マネキン紹介所から紹介されたマネキンへの報酬

事例

当社はデパート、スーパー、一般小売店の店舗での販売にマネキン紹介所から斡旋された、マネキンを店舗に派遣し、報酬を全額マネキンに支払っていましたが、今回の調査でマネキンの報酬は給与に該当するとしてマネキンに対する報酬についての源泉所得税の徴収もれを指摘されました。

アドバイス

マネキン紹介所から紹介された、マネキンへの報酬は給与に該当しますので支払者は、源泉所得税を徴収し納付が必要となります。

尚、人材派遣業法の適用業種で厚生労働大臣の許可等を受けている人材派遣会社に支払う報酬は給与に該当しませんので、源泉所得税を徴収する必要はありませんが、マネキン紹介所の派遣は人材派遣業の適用業種ではありませんので注意が必要です。

現物支給通勤手当

事例

当社の従業員には、自家用車通勤者と交通機関利用者がいます。自家用車通勤中の1名が、遠距離通勤の為、高速道路を使用しないとかなりの時間がかかってしまい、自動車使用通勤手当とは別に高速券を本人に渡していましたが、今回の調査で非課税限度額を超えていると指摘され超過分について源泉徴収されました。

アドバイス

現物支給の高速券代も通勤手当の一部です。この場合片道15㎞以上の場合交通機関の利用による運賃と自動車等交通用具の使用の非課税限度額の多いほうが通勤手当非課税限度額となります。非課税限度額を超えた差額は、源泉所得税の課税対象となりますのでこのような現物支給がある場合には注意が必要です。

退職所得の受給に関する申告書の提出がない場合

事例

当社は中規模の食品小売業ですが、半年前に退職した社員に社内規定により退職金を約280万円支給しました。その際に何かの手違いで、退職所得の受給に関する申告書を本人より提出されていないことが今回の税務調査で判明し、20%の所得税を会社で納付するよう求められました。

アドバイス

退職金に対する課税は分離課税制度がとられていますので、年末調整のような税額の清算手続きはなく、原則として支払い時の源泉徴収によって課税手続きは終了します。この税額計算の基礎となるのが「退職所得の受給に関する申告書」です。退職社員からこの申告書の提出がない場合には支払い時に、退職金支払額の20%の所得税を源泉徴収する必要があります。したがって、この事例の場合会社で立替納付し、後日、会社は退職社員から徴収することになります。退職社員は、この税額の過不足の清算を本人が確定申告することになります。退職金の支給時には必ず「退職所得の受給に関する申告書」が必要です。支給時に本人に記入してもらい会社で保管して置きましょう。

納期の特例適用者の従業員が常時10人以上となった場合

事例

当社では、源泉所得税の納期の特例制度の適用を受けていましたが、先日の法人税等の税務調査時に、調査官から、従業員数が3ヶ月ほど前から常時14人になっているので、「源泉所得税の納期の特例」の要件に該当しなくなっています。速やかに、該当しなくなった旨を記載した届出書を税務署に提出するよう指導がありました。その場合、提出時期によっては附帯税として不納付加算税と延滞税が課せられる場合があります。との指摘も受けました。

アドバイス

納期の特例制度の適用を受けていた源泉徴収義務者において給与の支払を受ける人が常時10人以上となった場合には、速やかにその旨を記載した届出書「源泉所得税の納期の特例の要件に該当しなくなったことの届出書」を所轄税務署長に提出しなければなりません。この場合の納期限は、届出の日の属する月分以前の各月分については、その届出の日の属する月の翌月10日であり、また、届出の日の属する月の翌月以降は、通常の法定納期限である翌月10日になります。

外国人のアルバイト料

事例

当社では、従来から日本での滞在期間が6ヶ月の予定の、日本語学校に通う中国人学生数人をアルバイトとして雇用し、月額約5万円~7万円のアルバイト料を、所得税を源泉徴収ぜず支給してきました。今回の税務調査で、源泉徴収もれと指摘を受けて、20%の税率で源泉徴収の必要があると指導を受けました。

アドバイス

日中租税協定21条により、「学生」が教育又は訓練をしながら受取る所得は免税とされていますが、免税の規定を受けることが出きる「学生」の範囲について「学校教育法1条に規定する学校の生徒」と規定されています。学校とは、小・中・高・大学・高等専門学校等をいいますので、日本語学校のようないわゆる専門学校に通う就学生については、租税協定に規定する学生の免税条項の適用はないということになります。ところで短期滞在については、現在のところ就労は認められていないようです。また、留学・就学等については「資格外活動」の許可を受けることによりアルバイトをすることが出来ます。

芸能スタッフ等の源泉徴収

事例

当社は映画、ビデオ関係の制作をしている会社です。スタッフは殆どが外注です。そのスタッフの報酬を支払う時に、個人で事業をしている外注先に、請求金額の全額を支払ってしまった為、税務調査で源泉徴収モレを指摘され10%の源泉所得税と不納付加算税を納付しました。

アドバイス

映画、演劇等 報酬支払の源泉徴収義務は、支払をした会社にあります。支払時に源泉徴収をしていない場合でも会社が納付をしなければなりません。併せて不納付加算税もかかります。必ず源泉徴収をして、翌月10日迄に納付して下さい。

法人への源泉徴収義務

事例

当社は創立30周年パーティーに際し、余興として芸能プロダクション会社から芸能人を呼んでディナーショー形式のコンサートをしました。調査時に、芸能人の所属する会社に支払った報酬に対して源泉徴収義務ありとして追加納付を求められました。

アドバイス

源泉徴収をしなければならない対象は「個人」という固定概念があるかと思われますし、一般的になっているでしょう。しかしながら(1)芸能人の役務の提供を内容とする事業を行う法人に芸能報酬を支払った場合(2)競馬の馬主が法人で、金銭で支払われる賞の2項目は法人といえど源泉徴収義務があります。ただし(1)の場合所轄税務署長から源泉徴収を要しない証明を受け、その提示があったときはこのかぎりではありません。

※税法改正により平成15年4月以降に内国法人へ支払う上記報酬等について源泉徴収制度が廃止されました。

運送業外注

事例

当社は運送業を営む法人ですが、運送事業において慣習として行われている形態に個人外注制があります。いわゆる車両を名義会社のまま個人に形式上売却をして その代金を割賦にて回収する方式を取り(一般的にはリース料として)、個人の売上代金より車両リース料、ガソリン代、保険料、修理代等を天引きして個人外注に支払い、外注費として処理しておりましたが税務調査でこれが問題となり外注費が給与と認定、源泉徴収もれ及び外注費否認で消費税の追徴も受けました。

アドバイス

会社と個人外注との関係が実態として請負外注関係有りと認定されるにはその業務の指示、命令、専属か否か、車両の名義、取引基本契約関係、請求書、領収書、請求額の計算方法、車両の修理、ガソリン代の支払回収精算方法等など実態として請負外注関係と認められるに相応しい状況が必要です、またこれは運輸業における名義貸問題もからんできますので慎重に対応する事が肝要です。

配偶者特別控除

事例

ある会社でA社員の年末調整について間違がないかと税務署より通知がありました。内容を確認するとその社員の配偶者特別控除の金額に間違いがありました。A社員は年末調整において配偶者特別控除申告書の配偶者の本年中の合計所得金額の見積額が0円になっていました。本人に確認してみると配偶者の収入が103万円未満だから所得金額0円と考えたようです。

アドバイス

配偶者には配偶者控除及び配偶者特別控除の両方の控除があり、配偶者特別控除の金額は配偶者の合計所得金額により控除額が変わります。申告書の裏面に詳しい合計所得の算出方法が記されていますので、よく読むよう指示してください。源泉徴収や年末調整における義務は、すべて会社(徴収者)にあります。したがって通知は会社に郵送されてくるのです。年調時に各自の申告書の確認には注意をしてください。

永年勤続者表彰

事例

当社は永年勤続者のうち勤続20年になる者について2泊3日(約10万円相当)の国内旅行をさせてその旅行費用全額を旅行会社へ会社から支払をしていましたが旅行に参加できない者について10万円の商品券を支給していたところ税務調査において商品券を支給した者については源泉徴収の対象になるとして所得税を徴収されました。

アドバイス

永年勤続者に対する経済的利益としては勤続年数等に照らし一般社会通念上相当と認められその表彰が10年以上勤務した者を対象にして旅行や記念品を支給する場合には所得税は課税されませんが金銭支給(商品券を含みます)の場合には金額にかかわらず所得税の課税対象になりますので今後は記念品などの支給に変更すると良いでしょう。

なお、社内規定等に準拠して社員に平等均等に運用されなければならない事は言うまでも有りません。

事務員に支払う給与

事例

当社では設立以来、社長の自宅のお手伝いさんに本社店舗ビルの清掃、管理、事務の業務をお願いして、会社で給与を支給し経費としていました。税務調査でお手伝いさん部分の給与は社長の個人経費であるとして給与総額の50%相当額が役員賞与であるとして否認されました。また、社長個人には源泉所得税が課されました。

アドバイス

当然といえば当然の否認ですが、業務に係る費用でなければ給与計算のうえで社長の給与より天引きの処理をしたほうがよいでしょう。そうすればお手伝いさんに社長個人から給与を支給して源泉徴収されないといった問題も解決できますから、より事務処理も簡潔になるでしょう。

非課税交通費

事例

当社の社員は、自家用車を使用して通勤する人が多くいます。通勤手当の金額の算出が困難なので他の電車やバス利用の人と同額かまたは電車バスを利用した場合の実費相当額を手当として支給しております。調査時に否認を受け、追加徴収を求められました。

アドバイス

自家用車や自転車等の交通用具を使用した場合の1か月あたりの非課税限度額は次のようになります。

片道2㎞未満無し
 2km以上10Km未満4,100円
10km以上15Km未満6,500円
15km以上25Km未満11,300円
25km以上35Km未満
16,100円
35km以上
20,900円

したがって、自家用車使用者の差額部分は課税通勤手当となります。

外国人の源泉徴収

事例

外国人労働者を雇用しています。扶養控除申告書の提出があったので、通常に甲欄による源泉徴収をして年末調整も実施しました。税務調査で指摘を受け、追加徴収を求められました。

アドバイス

国内に住所を有し、又は現在まで引き続いて1年以上居住している人以外の人を非居住者といいます。この非居住者については20%の源泉徴収が義務づけられています。また、年末調整もできません。制限はありますが確定申告により税は精算することとなります。パスポートなどで入国してからの期間を確認することが重要となります。