当法人は固定資産税について分割納付しています。固定資産税を納付した日に損金経理をしていますが税務上問題ないでしょうか。
ご質問の場合、実際に納付した日に損金経理して損金に算入されていますので問題ありません。
原則として固定資産税等の賦課課税方式による租税の損金算入時期は、その賦課決定のあった日の属する事業年度とされています。ただし、法人がその納付すべき税額について、その納期の開始の日(納期が分割して定められているものについては、それぞれの納期の開始の日とする)の属する事業年度または実際に納付した日の属する事業年度において損金経理した場合には当該事業年度とすることも認められています。
《関係法令》法人税法基本通達9-5-1(2)
これまで全額損金算入できていた倒産防止共済掛金ですが、税制改正により今後その掛金が損金算入できないケースも出てくるとお聞きしました。
どのような改正でしょうか?
中小企業倒産防止制度は、中小企業が取引先の倒産等により連鎖倒産しないための共済制度ですが、その掛金が全額損金算入され、結果的にプールされており、
実質的にいつでも引き出せることから、課税の繰延に利用されるケースが多く見受けられました、このことに鑑みて、この度税制改正がなされました。
具体的には、当該共済契約を解約した場合に、その解約の日から2年間は、再契約により支出する共済掛金について損金不算入されることとなります。
尚、この改正は2024年10月1日以後の共済契約解約について適用されますのでご注意ください。
弊社は資本金額1億円超の法人です。平成26年度税制改正により、交際費等の額のうち、接待飲食費の額の50%相当額の損金算入が認められましたが、
例えば次に掲げるような費用はこの接待飲食費に係る飲食費に含まれるのでしょうか。
交際費等とは、交際費、接待費、機密費その他の費用で、法人が、その得意先、仕入先その他事業に関係のある者などに対する接待、供応、慰安、贈答その他これらに類する行為のために支出するものをいい、接待飲食費とは、交際費等のうち飲食その他これに類する行為のために要する費用(社内飲食費を除く。以下「飲食費」という。)であって、その旨につき、保存書類に記載されて明らかにされているものをいいます。
1.従業員が得意先を接待するために要した自らの飲食費
得意先接待のために、役員、従業員が自ら一緒に飲食する行為は典型的な接待のための飲食費に該当します。
1.得意先の販売強化月間に際して差し入れた弁当代
得意先等の業務の遂行や行事の開催に際して、弁当の差入れを行うための弁当代は、得意先等において差入れ後相応の時間内に飲食されることが想定されますから、飲食その他これに類する行為のために要する費用として飲食費に該当します。
1.食料品のお中元
中元、歳暮の贈答のように、単なる飲食物の詰め合わせ等を贈答する行為は、飲食費に該当しません。(措通61の4(1)-15の2)
1.外注先との飲食後に、その飲食店で購入した飲食物のお土産代
飲食に付随して支出する費用でありますから、相応の時間内に飲食されることが想定されるか否かにかかわらず飲食に類する行為として飲食費に該当します。
1.飲食のためのテーブルチャージ料、サービス料
飲食のために要する費用として、飲食費に該当します。
1.得意先を飲食接待するために飲食店へ送迎した送迎費
送迎という行為のために要する費用であり、飲食のためにその飲食店に対して直接支払うものでないため飲食費に該当しません。
1.得意先のゴルフ接待に際して提供した飲食費
ゴルフを実施することを主たる目的とした行為の一環として飲食等が実施されるもので、ゴルフと一体不可分なものですから飲食費に該当しません。
ただ、飲食等がゴルフとは別に単独で行われていると認められる場合(例えば、ゴルフが終了して解散した後に、一部の取引先の者を誘って飲食等を行った場合など)は飲食費に該当します。
当法人は持分なし医療法人ですので、出資金がありません。ということは「資本金や出資金が1億円以下の法人」として、年間800万円までの交際費であれば損金算入できると考えてよろしいでしょうか?
持分なし医療法人の場合は、下記の算式で求められた金額を「出資金に準ずる額」として算定します。
そしてこの金額が1億円以下か否かによって交際費の損金算入限度額の計算判定を行うこととなります。
出資金に準ずる額=(期末総資産簿価―期末総負債簿価―当期利益(または+当期欠損金))×60%
つまり内部留保額が大きくなり過ぎますと、年間800万円までの交際費損金算入が認められなくなる可能性が高まりますのでご注意ください。
当社は、このたび税務調査をうけ直近3事業年度分を修正申告することになりました。
法人税の課税所得の計算上損金に算入される事業税額が増加することになりましたが、この場合における事業税の損金算入時期は修正申告書を提出した日の属する事業年度になりますか。
原則は、債務確定主義の観点により申告書を提出した日の属する事業年度が損金算入時期となります。
しかし、法人税基本通達9-5-2において2期以上の連年同時更正を行う場合にはその担税力等を考慮して、たとえ当該事業年度終了の日までに事業税の全部又は一部につき申告、更正又は決定がされていない場合であっても、当該事業年度に納付すべき税額を見積り、損金の額に算入することが認められています。
いつの事業年度に損金として算入するかについては、関与税理士と相談のうえ決めましょう。
当社は、100%子会社に対して機械を時価の900万円で譲渡しました。当該機械の譲渡前の帳簿価額は1,100万円となっています。
この譲渡により譲渡損が200万円発生しますが、相手先が100%子会社への譲渡ということで譲渡損の損金算入に問題はありますでしょうか。
平成22年度の税制改正により措置されたグループ法人税制において、100%グループ内の内国法人に対して譲渡損益調整資産(※)を譲渡した場合、
譲渡時点ではその資産の譲渡損益を認識することはできないため、税務上、機械の譲渡損は繰り延べることになります。
繰り延べられた譲渡損は、譲受側の子法人で対象資産の譲渡や減価償却などをしたときに、譲渡損が実現したものとして譲渡損を認識することになります。
(※)譲渡損益調整資産
譲渡直前の帳簿価額が1,000万円以上の固定資産、土地、有価証券、金銭債権、繰延資産
会社でエアコンを購入し設置しました、この場合の耐用年数についてどの様に判断すればよいのか教えてください。
エアコンの耐用年数を判定するにあたり、資産の種類として「建物附属設備」か「器具及び備品」かの判定をすることになります。
耐用年数は「器具及び備品」の場合は6年、「建物附属設備」の場合は冷凍機の出力が22kw以下のものは13年その他のものは15年になります。
以上のようになります。
【参考】 耐用年数省令 別表第一、 耐通2-2-4、耐通2-7-4
当社の役員Aは、得意先をゴルフ接待した後その得意先を乗せて車を運転し、帰る途中で接触事故を起こしてしまいました。
なお役員Aは飲酒運転をしていた為、この事故は役員Aの重過失に基づく事故であると認められます。
当社は相手方に入院費用等として損害賠償金200万円を支払いましたが、業務に関連するものである点を考慮し、役員Aに請求しないこととしました。
この場合、損害賠償金200万円は当社の損金の額に算入されますか。
本件は役員Aの飲酒運転という重過失であり、かつ支払能力があるにもかかわらず当社が負担した為、この200万円はAに対する給与(経済的利益)として取り扱われます。
この場合、この200万円は定期同額給与、事前確定届出給与、一定の業績連動給与のいずれにも該当しない為、全額損金の額に算入されません。
なお、役員の支払能力等からみて求償できない事情がある場合には、損金経理により損金の額に算入することができます。
連結納税制度が「グループ通算制度」に移行することにあわせて、単体納税制度についても見直しがされると聞きましたが、どのような影響があるのでしょうか。
主に以下の制度について改正がされています。
1. 受取配当等の益金不算入制度
①関連法人株式等に係る負債利子控除額の計算について
従来は原則法又は簡便法により計算していましたが、改正後は関連法人株式等に係る配当等の額の4%相当額となります。ただし、その事業年度において支払う負債利子の10%相当額を上限とします。
②関連法人株式等、非支配目的株式等に該当するかどうかの判定
従来は法人単体の保有株数により判定していましたが、改正後は100%グループ内の法人全体の保有株式数等により判定します。
2. 寄付金の損金不算入制度
損金算入限度額の計算のうち資本基準額の計算について、従来は税務上の資本金等の額を使用していましたが、改正後は会計上の「資本金の額と資本準備金の額の合計額」を使用します。
3. 貸倒引当金
貸倒引当金の対象となる金銭債権の範囲について、従来は100%グループ内の法人間の金銭債権を含めていましたが、改正後は100%グループ内の法人間の金銭債権が除外されます。
4. 資産の譲渡に係る特別控除額の特例
収用の特別控除など資産の譲渡に係る特別控除について、従来は法人単体ごとに年5,000万円まで控除可能でしたが、改正後は100%グループ内の各法人の合計で5,000万円まで控除可能となります。
この改正は、令和4年4月1日以後に開始する事業年度について適用されます。
当社は食品の製造販売を行っていますが、当社の食品管理規程により消費期限2日前の食品は販売せず、廃棄物処理業者に依頼し廃棄処理を行っています。
この度廃棄処理費用を削減する目的もあり食品衛生上まだ問題のない廃棄予定食品をフードバンク活動を行う団体(以下フードバンク)への提供を考えています。
この場合フードバンクへの食品提供は寄付として寄付金の損金不算入の対象となるのでしょうか。
廃棄予定食品がフードバンクへ提供されることについて、次のようなことが認められる場合には、寄付金以外の費用として提供時の損金の額に算入しても問題ないと考えられます。
1. 食品の提供は、社内ルール等に従って廃棄予定の食品をフードバンクが回収するものであり、貴社にとって、実質的に商品の廃棄処理の一環で行われる取引であること。
2. 貴社とフードバンクとの合意書において、提供した食品の転売等の禁止や、その食品の取扱いに関する情報の記録及び保存、結果の報告などのルールを定めており、提供した食品が目的外に使用されないことが担保されていること。また、貴社において提供した食品の使途が確認できること。
※フードバンクへの食品の提供に際しては、農林水産省が公表している「フードバンク活動における食品の取扱い等に関する手引き」では合意書の作成が定められています。
一度締結した不動産の取得に関する契約を解除して別の不動産を取得する事になり、契約解除の違約金を支払いました。
この契約解除の違約金は、別の不動産の取得価額に含めずに当期の費用としてよろしいでしょうか。
支出した契約解除の違約金は必要経費として計上する事が出来ます。
次に掲げるような費用の額は、たとえ固定資産の取得に関連して支出するものであっても、これを固定資産の取得価額に算入しない事ができます。
●一旦締結した固定資産の取得に関する契約を解除して他の固定資産を取得することとした場合に支出する違約金の額
・法人税基本通達7-3-3の2より抜粋
当社Aは、B社から社員の出向を受けております。この社員の給与負担金を出向元B社に支払っていますが、この給与負担金の取り扱いについて教えてください。
出向者に関する給与負担金については、その出向者が出向先A社において従業員なのか、役員なのかによって取り扱いが異なります。
①従業員の場合
この場合は、原則として出向先A社における従業員に対する給与として、損金の額に算入されます。
②役員となっている場合
この場合において、下記いずれにも該当するときは、給与負担金であっても、出向先A社の役員に対する報酬の支給として、役員給与に関する法人税法上の規定(※1)の適用を受けることとなります。
a.当該給与負担金の額について、出向先A社の株主総会等の決議がされていること
b.出向契約等において、当該出向者に係る出向期間や給与負担金の額があらかじめ定められていること
なお、出向先A社が給与負担金として支出した金額が、出向元B社から当該出向者に対して支給される給与額を超えている場合には、その超える部分の金額については、
出向元B社に対する寄付金として取り扱われることとなりますので、ご注意ください。
※1 法人税法第34条に定める、定期同額給与に関する規定や不相当に高額な部分については損金不算入となる等の規定
当期に特別償却の対象資産である機械を購入し、設置が完了した後に事業の用に供しました。
当該機械の引取運賃及び据付費についても特別償却の適用を受けることはできるのでしょうか。
特別償却の適用を受けることが出来ます。
購入した減価償却資産の取得価額については、法令により当該資産の購入の代価に引取運賃やその他当該資産の購入のために要した費用の額を加算した金額とされています。
そのため、本件機械の引取運賃及び据付費は、当該機械の取得価額を構成する費用となります。
・法人税法施行令第54条第1項
創立50周年に当たり、全従業員等及び定年退職者に対して、会社のロゴ入りの記念品(掛時計:購入価格1万円)を贈呈することにしました。
この場合、元従業員等に贈呈する記念品の費用は福利厚生費として処理してよろしいでしょうか?それとも、当社の得意先等に対して贈呈するのと同様、交際費になりますか?
元従業員に対する記念品の贈呈費用は、交際費ではなく福利厚生費として扱って差し支えないと考えられます。
法人が自己の役員及び従業員に対して創立記念等に際し、その記念として支給する記念品で、それが記念品としてふさわしいものであって、
消費税抜きの処分見込み額が1万円以下であり、かつ、5年以上の一定期間ごとに支給されるものであるときは、給与課税されず、福利厚生費として取り扱って差し支えないこととされています。
おたずねの元従業員等に贈呈される記念品は、その価額が少額であり記念品としてもふさわしいものと考えられます。また、現従業員等と同様、一律に支給され、
慶弔・禍福に際して一定の基準に従って支給するものに該当しますので、交際費には該当しないものといえます。(租税特別措置法関係通達(法人税編)61の4(1)-10)
したがって、おたずねの元従業員等に贈呈される記念品にかかる費用は、交際費には含めず、福利厚生費として損金の額に算入して差し支えないものと考えます。
当社は、建設業を営んでおりますが、作業現場で使用するブルドーザー、パワーショベルなど自走式作業用機械と自動車の適用区分はどのように判定するのでしょうか。
ブルドーザー、パワーショベルその他の自走式作業用機械は「機械及び装置」に該当し、作業現場において作業することを目的とし、機械が移動しやすいように車輪をつけたもので、掘削、積込み、てん圧等の作業をするものをいいます。
これらの自走式作業用機械の耐用年数は、原則として、使用状況等から次のいずれかの業種用の設備として通常使用しているかにより、耐用年数省令別表第二の「26林業用設備」、「30総合工事業用設備」、「41運搬に付帯するサービス業用設備」などに掲げるものが適用されます。
これに対して「車両及び運搬具」は、自走能力の有無を問わず、人又は物の運搬を主目的とするもので、例えば乗用車、貨物自動車、フォークリフトなどが該当します。
当社は、今期の業績が好調のため、従業員に決算賞与を支給する予定です。
今期中に従業員ごとの支給額は決定しますが、給与計算などの事務作業などのため、実際の従業員への支給は来期になってしまう見込みです。
この場合、決算賞与について、今期の損金にすることは可能でしょうか。
賞与については、原則として支給日の属する事業年度の損金となりますが、以下のすべての要件を満たす場合は、従業員に賞与の支給額を通知した日の属する事業年度において損金算入することができます。
①支給額を各人別に、かつ、同時期に支給を受けるすべての使用人に対して通知をしていること。
②翌事業年度開始の日から1か月以内に、①の通知をした金額を通知したすべての使用人に対し支払っていること。
③①の通知をした日の属する事業年度において損金経理をしていること。
税務調査では、上記の要件のほか、就業規則等で「在籍者のみに支払う」といった規定の有無が確認されます。
未払の賞与が損金に算入されるのは、期末までに実際に支払が行われたものと同様の状態であるものについて認められるものであるため、支給日の在籍の有無で支払われるか否かが分かれる場合は、上記の内容に該当せず損金不算入となりますので、注意が必要です。
決算が終わった後に役員だけで一泊の慰安旅行をしました。福利厚生費で処理をしたところ、役員に対する給与となり損金不算入として取り扱うよう税務調査で指摘されました。
福利厚生費として取り扱われる費用とは、おおむね役員及び従業員の全員を対象とするいわゆる社内行事に対して支出されるものと考えられます。そのため役員だけで行う旅行等の費用は、福利厚生費には該当しないこととなります。
この事例の場合は定期同額給与又は事前確定届出給与のいずれにも該当しないため、損金の額に算入されないことになります。
なお、源泉所得税にも影響を与えますのでご注意ください。
令和1年10月よりキャッシュレス決済によるポイント還元が始まり、クレジットカード等使用による決済事業者からのポイント還元はどのように会計処理すればよいのでしょうか。
ご質問のポイント還元は国が実施している政策によるものです。従って購入商品の値引きが行われているのではなく、購入に対する補助金としての位置づけになります。決済事業者からの口座引落時に相殺される事例を示すと次のようになります。
(商品代金)5,000円 (消費税等)500円 (ポイント還元)275円
購入時(借方)消耗品費 5,000円 /(貸方)未払金 5,500円
仮払消費税 500円
未払金 275円 / 雑収入 275円
決済時(借方)未払金 5,225円 /(貸方)預金 5,225円
(実務的には決済時に雑収入をたてる場合もあります)
ポイント還元の方法は決済事業者によりポイント還元、即時利用ポイント、口座引き落とし額への充当、口座へのポイント相当額の充当と対応が違いますので、ご利用の決済事業者の還元方法を確認してください。
また、ポイント還元される金額は補助金としての取扱いになりますので、還元金額は消費税課税対象外となりますのでお間違えなく。
中小企業者等に該当するA社は、従来12月決算でしたが、平成29年12月期の決算が終了した時点で決算期を4月に変更しました。
A社は、平成31年4月期において賃上げ・生産性向上のための税制の適用を考えていますが、前事業年度は4か月しかありません。
このような場合の比較雇用者給与等支給額の計算については、適用事業年度の月数に合わせて、この4か月分を12か月分に換算する調整計算を行えばよいのでしょうか。
比較雇用者給与等支給額を算定する場合において、前事業年度と適用事業年度の月数が異なる場合の比較雇用者給与等支給額の計算については、以下の区分に従って調整をすることとされています。
ア 前事業年度の月数>適用事業年度の月数である場合
前事業年度に係る給与等支給額に、適用事業年度の月数を乗じ、これを前事業年度の月数で除して計算した金額とされています(措令27の12の5〔6〕一)。
イ 6か月>前事業年度の月数<適用事業年度の月数である場合
適用事業年度開始の日前1年以内に終了した各事業年度(以下「前1年事業年度等」といいます。)に係る給与等支給額の合計額に、適用事業年度の月数を乗じ、これを前1年事業年度等の月数で除して計算した金額とされています(措令27の12の5〔6〕二イ)。
ウ 6か月≦前事業年度の月数<適用事業年度の月数である場合
前事業年度に係る給与等支給額に、適用事業年度の月数を乗じ、これを前事業年度の月数で除して計算した金額とされています(措令27の12の5〔6〕二ロ)。
今回のケースでは、(イ)の調整を行うこととなります。
したがって、前1年事業年度等、つまり前事業年度及び前々事業年度に係る給与等支給額の合計額に、適用事業年度の月数12を乗じ、これを前1年事業年度等の月数16(4か月+12か月)で除して計算した金額を比較雇用者給与等支給額とすることになります(措令27の12の5〔6〕)。
他の者から支払いを受ける損害賠償金の額は法人税法上いつの益金に計上されますか。
また、他の者に支払う場合は、損害賠償金の額は法人税法上いつの損金に計上されますか。
損害賠償金については、原則的な収益・費用の計上処理のほかに例外処理も認められておりますので、ご留意ください。
■損害賠償金を受取る場合 (法基通2-1-43)
原則:他の者から支払いを受ける損害賠償金の額は、その支払いを受けるべきことが確定した日(最終的に裁判等で確定した日等)の属する事業年度の益金の額に算入します。
例外:損害賠償金の額について実際に支払いを受けた日の属する事業年度の益金の額に算入している場合はこれを認めています。
⇒相手の支払能力によって支払が履行されない可能性もあることから、支払を受けた日の属する事業年度に収益計上を行っている場合にはこれを認めています。
■損害賠償金を支払う場合 (法基通2-2-13)
原則:他の者に支払う損害賠償金の額は、支払うべき額が確定した日(最終的に裁判等で確定した日等)の属する事業年度の損金の額に算入します。
⇒保険会社から保険金等の補填があるときは、当該補填金額について別途収益計上が必要となります。
例外:損害賠償金の支払いについて、当該事業年度終了の日までにその賠償すべき額が確定していないときであっても、同日までにその額として相手方に申し出た金額に相当する金額(保険金等により補填されることが明らかな部分の金額を除く)を当該事業年度の未払金に計上したときは、これを認めています。
当社は食品製造業を営んでおります。
毎年、売上高の増加を目的として、得意先に売上高に比例し金銭で割戻しを行っております。
今年も基準にしたがい割戻しを行いましたが、1件だけ得意先の要望で10万円相当の物品で行いました。
これも同じく売上割戻しで処理して良いのでしょうか。
割戻額が売上高等の一定の基準によるものである場合は、得意先では収益に計上され又は仕入額から控除されます。
これに対し、物品を交付する場合は、その物品が取引先の役員又は従業員が費消するようなものであれば、本来の売上割戻しというよりは、役員又は従業員への取引の謝礼等として贈答するものであるともいえます。
その場合、売上戻しではなく、交際費となります。
ただし、その交付する物品が事業用資産又はおおむね3,000円以下の少額物品で、その交付基準が売上割戻し等の算定基準と同一であるときは交際費等として取り扱われないこととされています。(措通61の4(1)-4)
当社は平成30年12月に設立し、平成31年3月に第1回の決算を迎えます。決算に当たって、設立時に購入した機械及び装置の償却限度額の計算方法を教えてください。当社は定率法を採用しており、機械の取得価額は、5,000,000円、耐用年数は13年、償却率は0.154で、保証率は0.05180です。
設立1期目や決算期を変更した場合には、その法人の事業年度が1年に満たないことがあります。貴社の場合は定率法を選定されているとのことですので、その場合の減価償却資産の償却限度額は次により算出した償却率を用いて計算します。
償却率又は改定償却率 × 当該事業年度の月数 / 12
なお、上記の算式中の事業年度の月数は、暦に従って計算し、1ヶ月に満たない端数が生じたときはその端数を切り上げます。
具体的に、貴社の当期(平成31年3月期)の償却限度額は、次のように計算します。
小数点以下3位未満の端数があるときは、その端数は切り上げます。
①定率法の償却率(事業年度は4か月)
0.154 × 4 / 12 = 0.052
②調整前償却額と償却保証額の比較(事業年度を1年として計算)
イ 調整前償却額
5,000,000円 × 0.154 = 770,000円
ロ 償却保証額
5,000,000円 × 0.05180 = 259,000円
→当期については「イ 調整前償却額 > ロ 償却保証額」となりますので、償却額の計算は「期首帳簿価格×定率法の償却率」となります。
③当期の償却限度額の計算
5,000,000円 × 0.052 = 260,000円
当社では、基幹システムを新規に導入し、ソフトウェア本体とインストール費用を支払いました。
ソフトウェアについては無形固定資産として資産計上しましたが、インストール費用について費用計上したところ、税務調査でインストール費用についてもソフトウェアの取得価額に含める必要があると指摘を受け、修正申告をしました。
資産の取得価額には、本体価格のほか、購入に要した費用、事業の用に供するために直接要した費用を含むものとされております。
ソフトウェアの導入に当たって必要とされる設定費用や自社の仕様に合わせるために行う付随的な修正作業等の費用は、取得価額に算入することになりますので注意が必要です。
3月決算の当法人は、役員に対しても事前確定届出を行った上で、7月と12月に賞与を支給しています。
この度、当法人の役員Aが、7月の賞与を受けた後で急きょ退任することとなりました。これにより12月の賞与は支払われないこととなりますが、7月に支給した賞与またはこれまで支給してきた報酬は損金不算入となってしまうのでしょうか?
また、臨時改定事由があったものとして変更届出書の提出が必要でしょうか?
事前確定届出給与として損金に算入される給与は、支給時期、支給金額が事前に確定しており、かつ実際にその定めのとおりに支給される給与に限られます。そのため、事前に届け出た支給額と異なる支給があった場合には、事前確定届出給与に該当しないものとなり、全額が損金不算入となります。
しかしながら、事前の届出を行った後に、役員の職制上の地位の変更、職務の内容の重大な変更その他これに類するやむを得ない事情(=臨時改定事由)が生じたことにより、給与等の定めの内容の変更を行った場合には、臨時改定事由が生じた日から1月を経過する日までに変更届出書の提出をすれば、届出の内容の変更が認められます。
さて、今回のケースでは役員Aは退任しており、その時点で会社の業務執行権限等が消滅しています。臨時改定事由とは、改定が行われた後も役員としての立場が継続していることが前提とされていますので、役員退任はこの臨時改定事由には該当しません。
よって、役員の退職に伴う変更届出書の提出は必要なく、役員が退任するまでの期間における給与が事前の届出通り支給されていれば、既に支給した7月の賞与や報酬について損金算入されますのでご安心ください。
当社では、オフィスのレイアウト変更を予定しております。
レイアウト変更にあたって、現在使用しているパーティションを撤去して、新たに購入したパーティションで内部を区切る予定です。
この場合、今まで使用していたパーティションの撤去費用は、新しいパーティションの取得価額に算入する必要がありますか。
自社で建設等をした減価償却資産の取得価額は、以下の金額の合計額とされております。
①その資産の建設等のために要した原材料費、労務費及び経費の額
②その資産を事業の用に供するために直接要した費用の額
レイアウト変更にあたり撤去するパーティションの撤去費用は上記のいずれにも該当しないため、撤去費用は新たに購入したパーティションの取得価額に算入しないこととなります。
当社では、社員に業務用として貸与している携帯電話をスマートフォンに取り替える予定ですが、販売業者に確認したところ、附属品を含めたスマートフォンの購入価額が1台あたり12万円になりそうです。
台数が多く金額も多額となることから社内から資産計上の話が出ていますが、スマートフォンを資産計上した場合、その耐用年数が何年になるのかを教えてください。
スマートフォンの基本機能が携帯電話に該当するという判断のもとに検討しますと、耐用年数省令別表第一の「器具及び備品」の「2事務機器及び通信機器」の「電話設備その他の通信機器」の「その他のもの10年」になるものと考えられます。
しかし、スマートフォンの構造、使用頻度等からみて、耐用年数を10年とするのは実態に即していないという印象となります。
スマートフォンは電話機能のほか、メール通信、インターネット検索等の多くの機能があることから、「パソコンに近い性質」を持った携帯電話といえますので、この点から検討を行いますと、耐用年数省令別表第一の「器具及び備品」の「2事務機器及び通信機器」の「電子計算機」の「パーソナルコンピュータ(サーバー用を除く。)4年」を、税務署長(調査課所管法人の場合には国税局長)の確認手続を受けることにより、適用することができる可能性が高いと考えられます。
耐用年数省令別表第一
耐用年数取扱通達1-1-9
当社は3月決算の法人です。毎年、定時株主総会で役員報酬及び役員賞与を支給する決議をして役員賞与(6月と12月に支給)については事前確定届出給与として税務署へ届出を行っています。
この度今期の決算が好調だったことから定時株主総会で役員賞与とは別に決算賞与として臨時賞与を支払うことを決議し7月に支払うこととしました。この場合事前確定届出給与と異なる支給をすることになりますが、臨時賞与及び届け出分を含めて損金不算入になるのでしょうか。
この場合事前確定届出給与と臨時賞与が、事前確定として届出ている金額と一致しないことから全額が損金不算入になるとの考えもあります。
しかし決算賞与は臨時賞与として前事業年度の業績によるもので事前確定届出給与となる役員賞与とは別に決議され支給されていますので、事前確定届出給与とは違うものとして取り扱われるものと考えられます。
従って事前確定届出給与としての役員賞与が届出通り支給されていれば、過大役員報酬となる部分を除いて損金算入され、臨時賞与として支給された部分が損金不算入になると思われます。
当医療法人には非常勤の監事がいます。この監事に対して定時社員総会開催月だけ報酬を5万円払っており、これは定期同額給与に該当しないため、これまではわざわざ「事前確定届出書」を提出した上で損金計上していました。しかしこの度、同届出書を提出しなくても損金計上できるということを聞きましたが、本当でしょうか?
2007年(平成19年)の税制改正により、定期給与を支給しない役員、例えば年2回払いのような非常勤の役員に対して支給する給与について、同族会社以外の法人はこの届出書の提出が不要となりました。
医療法人は同族会社に該当しませんので、今回のケースにおいても監事に対して1回だけ支給する報酬は事前確定届出書の提出がなくても損金計上が可能です。
取引先A社が主催する懇親会に招待され、その会場に向かうためタクシーを使いました。この懇親会は他の取引先も多数参加し、親睦を深めるために行われるものです。開催費用は全額A社が負担していますが、当社が支出するタクシー代は交際費となるのでしょうか。
交際費は、法人がその得意先仕入先など事業に関係のある者に対して接待、供応、慰安、贈答その他これらに類する行為のために支出するものとされています。取引先A社から招待された懇親会参加のタクシー代は、取引先A社へ接待、供応、慰安、贈答その他これらに類する行為のために支出するものではありませんので、交際費とする必要はありません。
当社は、工場用地を探していたところ、適当な土地を見つけたので、その土地の上に建つ建物と一緒に土地を取得し、すぐさま建物を取り壊して工場を建築しました。その事業年度において、その取り壊した建物の帳簿価額と取り壊し費用について損金計上したところ、税務調査において損金算入が認められない旨の指摘を受けました。
建物の敷地を建物とともに取得した場合において、初めからその建物を取り壊して土地を利用する目的であることが明らかな場合には、その建物の取り壊し時の帳簿価額と取り壊し費用については、その土地の取得価額に算入することとされています。ですから今回の事例においても、取り壊した建物の帳簿価額と取り壊し費用については損金算入が認められず、土地の取得価額として加算することとなりますのでご注意ください。
尚、初めはその取得した建物を事業用に使用する予定であったが、その後やむを得ない理由が生じたことによりその使用をあきらめなければならないような場合には、その建物の帳簿価額と取り壊し費用については、取り壊し時の損金の額に算入することができます。
当社は、毎年10月に全従業員を対象に運動会を開催しており、その運動会には従業員の家族も参加しています。
家族分も含め、運動会に要した費用を福利厚生費として処理して問題はないでしょうか。
租税特別措置法第61条の4第3項1号において、専ら従業員の慰安のために行われる運動会、演芸会、旅行等のために通常要する費用は、福利厚生費として交際費等には該当しないものとされています。この場合、条文の文理解釈によれば、「専ら従業員の慰安のため」とされていますので、家族の参加分は福利厚生費に含まれないことになりますが、一般的に運動会といえば従業員に加えて家族も参加して行われるのが通常の形です。
従って、運動会の費用に従業員の家族の分を含めても、それが通常要する費用の常識的な範囲内であれば福利厚生費として処理して差し支えないものと考えられます。
当社は以前に購入した80万円の絵画につき、当時の基本通達に基づいて減価償却せずに資産計上しておりましたが、最近その通達内容が改正されたと聞きしました。その改正内容について教えてください。
これまでは原則、①美術関係の年鑑等に登載されている作者の制作に係る作品か、②取得価額が1点20万円(絵画は号当たり2万円)以上の美術品等については非減価償却資産として取り扱われていましたが、通達改正により、取得価額が1点100万円未満である美術品等は原則として減価償却資産に該当することとなりました。
これは、平成27年1月1日以後に取得する美術品等のみならず、同日より前に取得したものであっても平成27年1月1日以後最初に開始する事業年度から減価償却が可能となります。(尚、この適用初年度において減価償却資産の再判定を行わなかった美術品等については、これまで通り減価償却を行うことはできなくなりますのでご注意ください)
尚、耐用年数は、金属製の物が15年、その他のものが8年となります。 例外的な取り扱いや詳細につきましては下記の国税庁HPをご参照ください。
http://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/joho-zeikaishaku/hojin/bijutsuhin_FAQ/#q1
当社は3月決算法人です。3月に国境なき医師団に対して、会社のクレジットカードにて寄附金の支払いを行いました。カード会社への支払いは翌々月の5月となりましたが、カード決済は済んでいるため、未払計上し損金に算入したところ、後の税務調査にてその寄附金の計上は認められないとの指摘を受けました。
税務上寄附金については、法人の経理処理にかかわらず、現実に金銭等により支払いが行われたときに、その支出があったものとされます。
今回のケースですと、3月にクレジットカード決済はされているものの会社の支払いは5月となっているため、3月末時点では支払いが行われていません。そのため、未払計上した寄附金についてはその事業年度においては加算調整し、実際に支払のあった翌事業年度において損金算入すべきだったものと思われます。
当社は最近業績がよく、将来の会社発展のために、早めの人材確保を考えリクルート費用に予算をかけております。優秀な学生の発掘や動向を把握する目的で、学生を酒席等に招待しております。また大学の就職部の職員やゼミの教授等への手土産等を持参しております。これを求人活動の一環であると考えていたため求人費用として処理しておりました。これを税務調査で交際費であると指摘をうけました。
学生等の接触に際して昼食に要した費用程度であれば求人費用等と考えられますが、酒席等の費用は交際費と考えられます。また学生等に自社が販売を取り扱う商品サンプル品をお土産として渡したものであれば、会社の実情を理解してもらうためのものであり、常識の範囲であれば特に問題ないかと思われますが、手土産を大学の就職部の職員やゼミの教授等へ持参する行為は、学生の斡旋を依頼するための贈答行為にほかならないので、交際費に該当します。
当社は自動車部品の製造を営んでいます。3年前に製造機械を600万円で取得しましたが、新しいOSがリリースされたり、PCの性能が向上している中、この機械のコンピュータ部分を交換し、ソフトウェアもアップグレードしました。その費用が50万円であったので、形式基準により、修繕費で処理したところ、税務調査で指摘を受け資本的支出に該当するとして償却超過とされました。
法人税基本通達7-8-4の形式基準による修繕費の判定は
(1) その金額が60万円に満たない場合
(2) その金額がその修理、改良等に係る固定資産の前期末における取得価額のおおむね10%相当以下である場合
のいずれかに該当するときは修繕費として損金処理が認められますが、これは一の修理、改善の費用が、資本的支出か修繕費か明らかでない場合のことです。
事例では、明らかにその固定資産の価値を高めて機能が増すこととなる費用と認められますから(法人税基本通達7-8-1)この形式基準は適用外であることにご注意ください。
青色申告法人である当社は、平成27年4月に屋外に太陽光発電設備の集光パネルとその周辺にフェンスを同時に設置して売電を行っています。
この太陽光発電設備の集光パネルとその周辺のフェンスを一体の減価償却資産として環境関連投資促進税制を適用し即時償却を行うことはできるでしょうか?
太陽光発電設備に係る環境関連投資促進税制の即時償却を適用できるのは、環境関連投資促進税制の適用対象設備に該当する設備を平成25年4月1日から平成27年3月31日までに取得等をした場合に限られています。したがって今回のケースでは、環境関連投資促進税制を適用して即時償却を行うことは認められませんので、30%特別償却か7%税額控除(中小企業者等に限る)を活用する方法が考えられます。
また、環境関連投資促進税制の対象設備のうち「太陽光発電設備」の対象範囲には、太陽光発電設備と同時に設置する専用の架台、集光装置、追尾装置、蓄電装置、制御装置、直交変換装置等も含まれるものとされていますが、太陽光発電設備の周辺に設置されているフェンスは具体的に掲げられていないため、対象設備に該当しないと考えられます。そのためフェンスについては環境関連投資促進税制の適用は認められず、通常の減価償却資産の計算になりますので注意が必要です。
当社は建設業を営んでおります。
請負ったマンションの建設に伴い、地元住民への説明会の開催や戸別訪問による挨拶について社名の入ったタオル等を用意して配布、また一部の方に商品券を配布し、これを広告宣伝費等として処理していました。
税務調査の際に商品券の配布は交際費に該当すると指摘を受けました。
周辺住民の建設同意を得るために、社名等の入ったタオル程度の物を配布するのであれば広告宣伝費として処理することも認められますが、商品券の配布は交際費に該当すると考えられます。また周辺住民の建設同意を得ることが建設許可の条件になっている場合でも当然に交際費に該当すると考えてください。
ただし、周辺の住民が受ける日照妨害、風害、電波障害等による損害を補償するために当該住民に交付する金品は、交際費等に該当しません。
当社は製造業を営む法人です。営業推進のため法人名義にてゴルククラブに入会し、その入会金について返還されないことが明らかな部分について繰延資産として5年で償却していたところ
不適切な処理だと指摘を受けました。
法人会員として入会する場合、入会金は資産計上するものとされています。またその資産計上した入会金は償却が認められておらず、ゴルフクラブを脱退してもその返還を受けることができない場合におけるその入会金に相当する金額及びその会員たる地位を他に譲渡したことにより生じたその入会金に係る譲渡損失に相当する金額については、その脱退をし、又は譲渡をした日の属する事業年度の損金の額に算入することとされています。
なお、個人会員として入会する場合 入会金は個人会員たる特定の役員又は使用人に対する給与となる場合がありますので、注意が必要です。
法基通9-7-11~12
先日、当社社長の60歳誕生日を祝うため誕生日会を取引先も招待し社員を含めて50人ほどで開催し、会場費を含めた50万円を福利厚生費として処理していましたが、税務調査でこれは接待交際費にあたるとして修正申告をすることになりました。
創立記念パーティーなどでも取引先を招待して行ったときはパーティーに社員が含まれている場合でも、その支出金額の全部が接待交際費に該当します。なお、社員だけで開催した誕生日会であっても今回のように社長を対象とし、かつ金額も高額であることから、社内交際費として取り扱われると思われます。
但し、上記費用の中に社長への誕生日記念品が含まれている場合には、現物給与とみなされ所得税が課税され、かつ役員賞与として損金不算入となります。
当社は、受注が低迷していた製品の製造ラインを除却するか判断がつかず、またコスト削減のためにメンテナンスをせずに数年放置しておりました。しかし、景気回復のためか受注が発生してきたため、この製造ラインのメンテナンスを行い再稼働しました。先日税務調査があり、この製造ラインの遊休中の減価償却は認められないと指摘をされました。
法人税法では、事業の用に供しているものが減価償却資産に該当することとなりますので、遊休固定資産は、減価償却をすることはできません。
但し、その休止期間中に必要な維持補修が行われており、いつでも稼働できる状態にあるときは、減価償却をすることができます。
減価償却費を計上する場合は、定期的にメンテナンスを行い稼働できる状態を維持し、それを証明できるように、メンテナンスに係る業者の請求書・領収書等を保存してください。
当社は文房具店を営んでおり1月決算法人です。正月の時期に販売していたお年玉袋が売れ残り、季節商品であることからこの商品について評価損の計上を行い申告しました。
後の税務調査にて、その評価損の計上は認められないとの指摘を受けました。
棚卸資産の評価損を計上ができる著しい陳腐化とは、棚卸資産そのものには物質的な欠陥がないにもかかわらず経済的な環境の変化に伴ってその価値が著しく減少し、その価額が今後回復しないと認められる状態にあることをいいます。
いわゆる季節商品で売れ残ったものについては、既往の実績等から今後通常の価額では明らかに販売できなくなった場合に評価損の計上が認められることとなります。
今回のケースですと、正月の時期にしか販売が見込めないお年玉袋であっても、来シーズンになれば同額で販売することができると考えられることから、評価損の計上が認められなかったものと思われます。
干支が印刷されているお年玉袋など、以降通常の価額で販売することが難しいものである場合には、評価損の計上を検討されても良いかもしれません。
小売業を営む資本金1,000万円の法人ですが、9月20日の決算で負担すべき9月分の社会保険料の額について、年金事務所から届いている社会保険料の引落し案内を基に当該事業年度の損金の額に算入することを予定しています。
社会保険料を未払費用に計上できるかどうかということですが、社会保険料の納付義務の確定時期までに債務が確定していることが条件になっております。社会保険料の納付義務の確定時期は月末のため、当該事例においては未払計上しても損金に算入することができません。法人が負担すべき社会保険料の額で月末の到来しない月に係るものについては、法人の事業年度の末日が月末でない法人については、当該末日を含む月の社会保険料の額については当該事業年度の損金の額に算入することはできないことになります。
(法人税基本通達9-3-2)法人が負担する社会保険料の額については、当該保険料の額の計算の対象となった月の末日の属する事業年度において損金の額に算入することができることとされています。
居住しているマンションでは将来の大規模修繕費用に充てるため、屋上に不動産会社の看板を設置し、月額10万円の賃貸料を管理組合の収入としていますが、最近この収入に税金が掛かると聞いたのですが本当でしょうか?
管理組合では構成員である居住者からの管理費や修繕積立金、居住者からの駐車場収入を収入源として管理組合を運営していますが、通常このような収入は非課税とされ法人税申告は必要ありません。しかし居住者以外から得られる収入については収益事業収入として法人税申告や消費税申告が必要になります。最近では事例のような看板収入だけでなく自動販売機手数料収入や携帯電話基地局設置収入を得ている管理組合もあるようですので、理事会などで協議し、正しく税務申告をするようにして下さい。
オフィスを借り始めることとなり、家賃2か月分、敷金、仲介手数料の他に礼金を30万円支払いました。この時の法人税法上の取り扱いについて教えてください。
礼金は法人税法上、「建物を賃借するために支出する権利金等」として繰延資産に該当します。今回のケースですと金額が20万円以上ですので少額繰延資産として一括損金計上は認められず、5年で償却していくこととなります。
但し、契約による賃借期間が5年未満である場合において、契約の更新に際して再び権利金等の支払を要することが明らかであるときは、その賃借期間で償却していくこととなります。
尚、上記の費用のうち仲介手数料については、契約時に損金計上が認められますが、敷金については、契約時において将来返還されないことが明らかなもの以外の金額は、損金計上が認められず資産計上することとなりますのでご注意ください。
当社は、社員・役員合わせて12人の建設業を営む法人です。先日の税務調査で親族に対する給与が過大ではないかと指摘を受けました。社長の親族(奥さん)へ毎月の給与を40万円で計算して支給していましたが、奥さんの仕事内容は、給与計算・社会保険の手続き・建設業の届出等で、タイムカ-ド又は出勤簿はなく自宅でパソコンを使っての仕事がほとんどでした。それぞれの資料には奥さんの筆跡もあり、給与が銀行振込みで、本人が通帳も管理し、生活費として引き出して使用していました。その結果、給与40万円のうち25万円部分が過大使用人給与となり、本来法人の損金にはならないが、毎月の給与で越える部分については社長への給与扱いとなりました。社長は毎月の源泉徴収と年末調整により追徴となりました。
使用人に対する給与をすべて損金算入にしてしまうと、本来役員に対して支給するべきであった給与を使用人である役員の親族に過大な給与を支給するなど、所得の分散を図ったりして、所得税や法人税等が少なくなったりする場合もあります。法人税では、役員と特殊関係にある使用人(特殊関係使用人)に対して支給する給与については、その使用人の職務の内容、法人の収益及び他の使用人に対する給与の支給状況に照らし、その使用人の職務の対価として不相当に高額と認められる部分の金額については、損金の額に算入しないという取扱いを設けています。
当社は、ある役員の甥にあたる従業員の退職にあたり退職金を支給したところ、先日の税務調査において、過大な使用人退職金にあたるとして一部の損金算入が認められませんでした。
法人が使用人に対して支給する給与や退職金は、雇用契約に基づく労働の対価である限り、原則としてその全額の損金算入が認められます。しかしその使用人が法人の役員と特殊の関係にある使用人(=「特殊関係使用人」)である場合には役員に対する給与の規定が適用され、不相当に高額な部分については損金の額に算入されませんので注意が必要です。
特殊関係使用人とは下記の1~4に該当する使用人をいいます。
尚、不相当に高額かどうかの判定は、その使用人の業務従事期間、退職の事情、同規模同業種における状況などによって行われます。
3月末決算の運送事業を行う中小企業法人です。先日、税務調査を受けました。2月に販売業者へ追加発注したトラック5台が3月25日に納車され、車検証、自動車保険の加入等を確認し業務での使用を開始しました。ところが、購入したトラックのうち1台が特殊保冷車輌で、保冷装置の一部に不具合が見つかり販売店で点検整備を行い、翌月4月5日付けの販売業者からの納車報告書が保管されていました。この件について、トラック1台が当該事業年度には事業の用に供されていないことが判明し、普通償却費及び中小企業者等が機械等を取得した場合の特別償却制度による特別償却費として計上した償却費が否認されました。
事業の用に供した時期の意義として、事業年度の中途で減価償却資産の償却費を損金に算入できるのは、その減価償却資産を事業の用に供した日からです。この事業の用に供するとは、その法人の営む事業の本来の用途、用法に使用を開始したときと解されます。
車両を事業の用に供するまでの経過は、発注→陸運局登録→納車→使用開始、この経過の中で税法の規定により減価償却費の計上が認められるのは使用開始の日です。
トラックの納車が事業年度末近くになり、点検整備をするのに期間を要し、事業の用に供したのは翌事業年度とのことであるので、取得した事業年度には特別償却を含む減価償却費の損金算入が認められなかったものです。事業年度末近くに取得する減価償却資産については、事業の用に供したのはいつであるかが問題になるので、その取得の時期を明確に立証できる書類があることを確認しておく必要があります。
当社は80%を出資している子会社を有しています。その子会社が業績不振により債務超過となったため当社の主導により再建を図っていましたが、業績が回復しない為止むを得ず解散する方向で他の株主や債権者と調整をしていました。
しかしその多くが当社の取引先で親会社としての責任を果たさなければ同意が得られなかった為、当社が優先して債権放棄をし他の債権者の負担がないようにしたいと考えていますが、この債権放棄については子会社への寄附金に該当しないでしょうか。
一般的には子会社等への債権放棄による経済的利益の供与は、寄附金に該当するものと考えられますが、債権放棄をしなければ今後さらに大きな損失を蒙ることが予想されるなど、相当な理由がある場合には寄附金に該当しない場合があります。
今回の子会社整理が親会社にとって、更なる損失が生ずる事を回避する為のものであり他の株主や債権者からも、まず親会社としての責任を果たさなければ子会社解散に同意してもらえないなどの事情を考慮すれば、親会社が優先的に債権放棄することは社会通念上も妥当なものと考えられますので、今回の事例では寄附金に該当しないものと考えられます。
なお、上記の事情等を明確にする為に他の株主や債権者との交渉過程を記録した書類や合意文書などを保管しておいてください。
当社は飲食店を営む法人です。当社が保有する車両の売却に係る未収入金について、債務者との取引が1年以上経過した時点で未だ回収できていないことから、備忘価額を控除した金額を貸倒損失として処理しましたが、税務調査においてこの貸倒損失については認められないとの指摘を受けました。
法人税基本通達9-6-3において、債務者との取引経過後1年以上を経過した場合に、その債権につき貸倒損失として損金経理処理した場合に損金算入が認められるとされています。この規定の適用は、債務者との間に継続的な取引があった場合の売掛債権に限られ、今回のケースはたまたま行った車両の売却に係る未収入金であることから、この規定の適用はないことになります。
また、売掛債権に該当する場合でも、担保物を有している場合には、この規定の適用はありませんのでご注意ください。
貸倒損失として損金算入が認められるためには、法人税基本通達9-6-1、9-6-2及び9-6-3の規定の適用が考えられますが、それには発生した事実、経理処理方法、損金算入時期等の要件を満たしているかどうかの判断が必要になります。
当社はパソコン15万円及びプリンター15万円を購入し一括償却(3年で償却)を行った。購入2年目にパソコンが破損したため廃棄し、未償却残高を除却損として計上した。
またプリンターは3年目に遊休状態になったが一括償却を継続した。 調査官は一括償却しているパソコンは除却損の計上はできないから、除却損は否認する。
取得価額が20万円未満の減価償却資産については、事業年度ごとに一括して3年で償却する方法を適用できます。各事業年度の所得の金額の計算上損金の額に算入される金額は、損金経理をした金額のうち、次の金額に達するまでの金額です。
一括償却対象額×当該事業年度の月数/36=損金算入限度額
上記算式による金額は、「償却限度額」ではなく、「損金算入額」となっています。
つまり、一括償却資産は、その取得価額を3年にわたって「費用の額又は損失の額とする方法を選択した」ということですから、一括償却対象額の全部又は一部について滅失、除却等の事実が生じたときも、その損金算入額は、上記の損金算入限度額に達するまでの金額となります。
よってパソコンに除却等の事実が生じたときであっても、その損金算入額は、上記の損金算入限度額に達するまでの金額となります。
また、遊休状態になったプリンターは、一括償却を行った後に遊休状態になったとしても、資産を個別管理していないのですから、償却を停止する必要はなく、従来通りの一括償却は認められます。
当社は中小企業者等で、青色申告書を提出する法人です。応接室に設置する絵画の取得価額が29万円であり、30万円未満であることから、取得価額全額を損金処理していたところ、当該絵画に関しては減価償却資産に該当しないということから、損金算入が認められませんでした。
中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例は、減価償却が認められない資産については、適用できません。書画骨とうのように、時の経過によりその価値が減少しない資産は減価償却資産に該当しないこととなります。
ただし、書画骨とうに該当するかどうかが明らかでない美術品等でその取得価額が1点20万円(絵画にあっては、号2万円)未満であるものについては、減価償却資産として取り扱うことができるものとするとされていますが、本事例の場合は、その要件にも該当しなかったため、否認されたと推測されます。資産計上の有無の判定の上で、金額のみで判断するのではなく、資産内容についても、詳しく検証することが必要となります。(法基通7-1-1)
3月決算法人です。3年ほど前に、当社の創業者である代表取締役会長が在職中に死去し、社葬の取扱い規定及び取締役会で社葬を行う旨を決定した議事録に基づき、社長が葬儀委員長となり式場にて社葬を執り行ないました。
会長の出身地が岩手県で遠方からの親族等の参列もありましたので、同日に、初七日法要も同時に実施いたしました。後日、会社宛の葬儀費用の請求書・領収書を基に全額を会社の損金として計上しました。
このたびの税務調査で請求書・領収証の中にまぎれて 損金とならない墓石費用63万円が含まれておりました。
さらに、初七日法要費用42万円についても損金と認められず修正申告する事になりました
社葬費用について税法では、社葬を行うことが社会通念上相当であると認められ、社葬のために通常要すると認められる費用であれば、「福利厚生費」として損金に算入することが認められています。たとえば、生花・祭壇費、飾りつけ技術料、屋内外設備一式、会葬お礼状・お返礼品、葬儀式セット料金、式場使用料、新聞広告、お布施、会場での飲食代、送迎バス・タクシー代などです。
なお、次のような費用は、税務上の葬式費用には該当しません。
① 香典返しのためにかかった費用
② 墓石や墓地の買入れのためにかかった費用や墓地を借りるためにかかった費用
③ 初七日や法事などのためにかかった費用。
当社は毎年決算日に賞与を支給しています。今年は営業日の関係で支給が翌月となってしまいましたが、未払経理により例年通り賞与を計上しました。しかしこの賞与につき経費計上が認められず、修正申告を行うこととなりました。
賞与については損金算入時期が法人税法上定められているので注意が必要です。
あくまで原則は、賞与支給日の属する事業年度において損金算入が認められますが、下記のすべての要件を満たす場合には、賞与に関する通知日の属する事業年度において損金算入が可能となります。
① 支給額を各人別に、かつ支給を受けるすべての使用人に対して通知がなされていること
② 翌事業年度開始1か月以内に、上記①の通知内容通りに支給が行われていること
③ その通知日の属する事業年度において損金経理がされていること
また、労働協約や就業規則により定められている支給予定日が当期中に到来しており、さらに当期中に使用人に対し支給額を通知した上で未払経理により損金経理している場合においても、 当期中の損金算入は認められることとなります。
当社は、主要取引先である甲社に対し、平成17年1月に運転資金として300万円を貸付けることになり、取締役会議事録及び金銭消費貸借契約書を作成し、甲社からは順調に毎月返済を受けていました。ところが平成20年8月ごろから甲社の業績悪化が表面化し、同時に当社への月々の返済が滞る状況となりました。甲社に返済の催促を何度かして遅れながらも返済を受けていましたが、ついに平成21年4月以降まったく返済がなくなりました。
そのような状況の中で当社の平成21年12月決算にて、再度甲社の担当者に現状確認をしたところ、事業活動を大幅に縮小し、大部分の役員も退任し、近いうちに休眠状態になるとのことでした。甲社への貸付金については代表取締役が連帯保証をしていましたが、退職により甲社取締役も退任し、現在は遠方で年金生活をしているとのことでしたので、甲社への貸付金の残額60万円と未収利息についてやむなく貸倒処理で損金経理をしました。
今回の税務調査で、甲社の代表取締役の連絡先も判明し、返済能力がありと判断され、貸倒償却否認で修正申告することになりました。
(法基通9-6-2)連帯保証人がいる場合の貸倒れの判断
連帯保証人についても、回収不能かどうか判断する必要があります。金銭債権について連帯保証人がいる場合には、その連帯保証人は、その債務の返済に関しては債務者と同等の立場にあると考えられることから、その連帯保証人等の資産状況、支払能力等を勘案して、その貸付金が回収不能かどうかの判断をすることになります。
当社は化粧品の製造販売を営んでいる3月決算の法人です。翌期の4月から9月までヶ月間掲示される駅ホーム広告料を3月中に支払い、これを短期前払費用の特例を適用し当期の費用として処理したところ、税務調査において当該支出は前払金であり、前払費用ではないと指摘を受け、修正申告をしました。
法人税基本通達2-2-14において、短期の前払費用について以下の要件のもとに支出時損金とすることを認めています。
○短期前払費用とは
一定の契約に基づき継続的に役務の提供を受けるために支出した費用のうち、未だ提供を受けていない役務に対応するもので、期間の経過に応じて費用化され、支払った日から1年以内に提供される役務にかかるものを言います。
ところで、事例の広告料の場合、特定のサービスを一定の時期に受けるための費用であり、継続的サービスの対価とは異なりますので、物品の購入等と同様、前払費用には該当しません。
また、例えば借入金を、預金、有価証券等に運用する場合のその借入金に係る支払利子のように収益の計上と対応させる必要があるものについては適用がありませんのでご注意ください。
屋内電気工事業を営む同族会社です。先日、約10年ぶりに税務調査を受け、貸付金・仮払金についての認定利息の計上漏れで修正申告をすることになりました。貸付金について、役員・社員、子会社等へ貸付時に、 取締役会議事録と金銭消費貸借契約証書を作成、収入印紙を貼付して、元利金を毎月一定額ずつ、役員・社員については、毎月の給与より天引きしてきましたが、今回、取締役1名に少額の貸付が数年間に何回か続き、 直前期決算では残高が200万円ほどになっていました。
この貸付については利息も元金も徴収していませんでしたので、今回の調査で貸付金利息の計上漏れとなりましたが、すぐに金銭消費貸借契約書を作成し、今後毎月の給与より天引きすることにしました。
仮払金については、その支出に付いては当然業務目的の支出ですので、各期ごとに精算をすれば残高は増加しないのですが、未精算のまま残高が多額になり、毎期末決算にて未収金として認定利息を計上していました。 本来の考え方として、役員へ仮払金として累積した未精算金は、たとえ業務目的費用になるとしても精算されずに放置したなら、役員賞与として一度に精算すべきでしょうが、役員賞与とした場合は定期同額給与とはならず 損金不算入となり法人に多額の追加税額が発生することになりますので、今回は、早急に精算又は、返金を勧めることにしました。
会社決算で、役員に貸付金・仮払金が計上されている会社は多いと思います。銀行から融資を受けるに際し、利益を出すために経費処理せず仮払金としているのではと疑われます。
また、未収利息計上のみで放置し
退職金と相殺との考えもありますが、税務調査にて否認を受けて、役員賞与という最悪の事態にもなりかねません。直ちに会社に返済をするか、毎月の役員給与から一定額返済する方法をお勧めします。さらに、
未収金計上した未収金勘定も放置し残高が多額になりますと、未収金についても認定利息の計上が必要になる場合があります。
ここで参考に、国税庁からの認定利息の取扱いについて掲載いたします。
(直法1―165認定利息の取扱について)
同族会社の代表者等に対する仮払金(貸付金を含む。以下同じ。)について認定利息を計算することは当然であるが、当該計算に当つては、進んで複利計算によるようなことはしないで、元本である仮払金についてだけ利息を認定することとし、認定利息の集積額については、利息を認定しないものとすること。
ただし当該利息を元本に繰り入れた場合または元本についてだけ返済があり、利息について未収のまま放置している場合等特に課税上弊害があると認められるときには、この限りでないこと。
当社は卸売り業を営む決算期が3月の同族会社です。従来より非常勤の監査役に対し、毎年期末に1年分の報酬を一括で支払っておりました。平成19年の秋頃行われた税務調査において平成19年3月期における役員給与につき定期同額給与には該当しないとされ修正申告をいたしました。
平成18年度の法改正で従来は、役員報酬と役員賞与で区別されていた役員に対する報酬は「役員給与」として一本化されました。その新税制において損金に算入される役員給与とは(1)定期同額給与(2)事前確定届出給与(3)利益連動給与のいずれかに該当するものであります。(3)については同族会社には適用がないため、御社の場合(1)か(2)のどちらかに該当する場合のみの適用になります。
(1)定期同額給与とはその支給期間が1月以下の一定期間ごとに、各支給時期における支給額が同額である給与をいいます。(法法34(1)一)
従って年1回の所定の時期に支給するものはたとえ各月ごとに計算された金額を基礎として算定されたものであっても定期同額給与には該当しません。
よって損金算入とするためには、毎月に平準化して支給するか、現在のような支給形態を継続したいのであれば事前確定届出給与の届出を所轄税務署所長あて提出してください。
当社は、道路貨物運送業を営む資本金3,000万円の青色申告法人で、設立10年目を期に新規の事業として産業廃棄物収集運搬事業を行うことになりました。19年9月に事業用の特殊車両を消費税込みで1台630万円を3台取得し、あわせて、引取運賃及び据付費税込みの洗車機1台を525万円で取得しました。確定決算にて車両3台及び洗車機について、取得価額の30%特別償却費と普通償却額を損金経理し、消費税も一括課税仕入れ処理して確定申告を電子申告にて完了しました。ところが、先日の税務調査に際して洗車機については新品でないことが判明し修正申告となりました。
中小企業者等が機械等を取得した場合の特別償却制度は租税特別措置法により青色申告法人である中小企業者が、平成10年6月1日から平成20年3月31日までの間に新品の機械装置等を取得し、国内において事業に使用した場合に、適用を受けることができます。車両については車検証の初度登録年月により新品かどうかは容易に確認出来ますが、洗車機については確認を疎かにしたようです。契約書あるいは製作会社に確認することが必要でしょう。
当社は、不動産貸付業を営む法人です。賃貸時、月額賃貸料の6ケ月分を入居保証金としてテナントより収受し、2年更新の賃貸借契約書を交わしていますが、契約終了時入居保証金のうち月額賃貸料の2ヶ月分は返還しない契約となっています。入居保証金のうち返還を要しない2ヶ月分の収益計上について、契約終了時の収益計上と認識していたのですが、税務調査で、テナントの入居時に収益に計上しなければならないとの指摘を受け、修正申告をしました。
入居保証金のうち、契約締結時の賃貸料の2ヶ月分に相当する金額は、その保証金を収受した日又は貸付を開始した日の収益に計上しなければなりません。契約書では保証金の返還不要時期を契約終了時としていますが、契約時点でその後契約終了する時期は必ずあり、契約時点でもはや返還不要が確定している状態と認められますから、契約締結等の時点で、その都度収益計上することになります。
当社は、3年前に関連会社から不要となった乗用車1台(時価約85万円相当額)を無償にて取得し、名義を変更の上、営業用車両として業務に使用していましたが、先日の当社の税務調査において、無償による資産の譲受として受贈益を益金に算入しなければなりませんと指摘を受けました。
法人税法には、所得金額の計算上益金の額に算入すべき金額は、別段の定めがあるものを除き、「資産の販売、有償又は無償による資産の譲渡又は役務の提供、無償による資産の譲受けその他の取引で資本等取引以外のものに係る当該事業年度の収益の額」とされています。ここでは、無償による資産の譲受け等を含めていることから、取引とは法人にとって利益となる全ての事柄とされます。したがって、上記車両の時価を受贈益として益金の額に算入するとともに、車両運搬具の取得として固定資産に計上し修正申告書を提出することになります。なお、関連会社においては、無償による資産の譲渡は寄付金とされますので、一定の金額が損金不算となります。
当社の従業員が業務中(得意先への商品納入に際し)に駐車違反をしました。 業務上のことでもあり交通反則金、レッカー車代、保管料等は当社が負担し費用処理し損金算入していましたが、税務調査時に交通反則金については損金算入が認められませんでした。
法人の役員又は使用人に課された罰金等を法人が負担した場合、その罰金等が法人の「業務の遂行に関連がないもの」に対して課されたものであるときは、 役員又は使用人に対する給与とされます。 今回の場合、駐車違反は「業務の遂行に関連してされた行為」に対して課されたものですから、法人が負担した交通反則金等は、従業員に対する給与とはなりません。したがって、法人に課された罰金等と同様に取扱うことになるため、法人が負担したうち交通反則金は損金算入ができないこととなります。
尚レッカー車代等は、その措置に要した実費を負担させる意味合いのものであり罰金等とは性質を異にするものです。したがって、罰金等には該当せず、損金算入が認められます。 最後に業務遂行上とはいえ、道路交通法違反ですので、今後はこのような事が無いように始末書等を本人に提出させることも大事です。
当社では持株比率が20%以上ある株主に対して社内規定により、社員同様に株主に対しても慶弔禍福について香典等を支出し、社員に支出するのと同様に福利厚生費として処理していましたが、税務調査において交際費であると指摘を受けました。
会社が、社員又はその親族の慶弔禍福に際し一定の基準に従って支出される金品であれば福利厚生費として処理できますが、得意先・仕入先等社外の者に対しての慶弔禍福についての金品の支出については交際費して取扱われます。従って株主は福利厚生費として処理できる社員には該当しませんので取扱には注意して下さい。
当社は以前500万円で購入した自社利用のソフトウェアについて、新たな機能の追加を実施し、プログラム修正費用として65万円を支払い修繕費として処理しましたが、このほど税務調査にて、資本的支出との指摘を受け修正申告しました。
法人が、保有するソフトウェアについてプログラムの修正等を行った場合、その修正等が資本的支出に該当するか、修繕費に該当するかの判定は、他の減価償却資産と同様です。プログラム機能障害の除去、現状効用の維持等に該当する費用は修繕費に該当し、新たな機能の追加、機能の向上等に該当するときは資本的支出に該当します。例えば、消費税率の改正に対応するため行った修正費用は修繕費となり、バージョンアップ費用は、新たな機能追加となり資本的支出に該当することになります。
当社は、一般向けの小売業を営んでおりますが、当社の取扱い商品にのみ有効なクーポン券(商品券)の販売事業もしております。このクーポン券の未使用額の管理を徹底しておこなっているため売上を預り金計上して使用された都度売上高に計上する方法を取っておりました。ところが、税務調査の際にクーポン券を売る都度売上高に計上しなければいけないとして否認されました。
なるほど、預り金の残高管理を徹底していれば会計上問題の無い処理です。しかし、税務上原則として商品券の売上は販売時に計上されるものとされているため否認されたものです。商品券をその発行年度ごとに区分して管理し、使用の都度売上の計上処理をするには所轄税務署長の確認を得ることが必要となります。また、エンドレスに預り金するのは弊害があるため(未使用のまま忘れ去られたもの)、発行年度の翌期首から3年を経過した時点の未引換え商品券はその時点で収益計上することが条件となりますので注意が必要です。
ある法人は会社設立時に適当な役員候補者が居なかった為、社員として雇用予定の者を設立時に監査役として登記しました。その監査役は当然一般社員として業務に従事していた為、会社は社員として賞与を支給しましたが、税務調査に当たりこれが役員賞与として否認されました。
法人から見ますと、登記上監査役が居なかった為、設立時便宜上役員とした旨主張したのですが、この主張は通りません。監査役は、社長、副社長、専務、常務取締役同様に使用人兼務役員とはなり得ません。従って登記上とは言え、兼務役員に該当しませんので役員賞与と認定されます。設立時とりあえず
との考えから適当に役員を登記してしまう事例がありますが、もし一般社員を監査役に登記した場合は、登記上役員の間は、税務上、経理上賞与の支給を控えるか、若しくは役員の変更が出来る時期に速やかに監査役の変更登記をしておくべきです。この事例は、東京高裁の判例も出ています。
当社は設立したばかりの資本金300万円の有限会社です。今は免税事業者ですが、将来的に消費税等の課税事業者に該当することとなるので、税抜き経理を採用し決算書を作成しました。収受した消費税等と支払った消費税等の差額(課税事業者であれば納付するであろう金額)を「消費税等差額損失」として費用計上したところ、減価償却に超過があるとして否認されました。
免税事業者は、税込み経理が原則となっています。税抜きで経理していたとすれば、取得した固定資産について支払った消費税等相当額もこの「差額損失」に含まれているでしょう。したがって、本来税込みで償却すべきだった償却費が科目を変えて損金処理されていることになります。
免税業者であれば税込み経理を選択したほうが(または固定資産は税込み経理)ベターです。
当社では社員の退職金の支払に対する財源確保のために中小企業退職年金に加入しておりました。このところの不景気により資金繰りが苦しくなりこれを解約し、給付金を社員からの借入金として処理し資金繰りに充てました。税務調査で指摘を受け、雑収入として否認されました。
中退金の解約は一度雇用関係の打切りをしたことによる退職金の支払に該当します。その社員がそのまま職務に服していたとすればそれは再雇用と言うことになります。この場合再雇用に関する契約書を本人との間に取り交し、退職金の一部を会社が借用することを確認した旨の記載をし、金銭消費貸借契約書も作成することが必要となります。もし、そのような書類が完備されていなければ、それは客観的に本人の意思とは無関係に行われたと見なされてもしかたがありません。中退金の掛金は損金となっていますので解約金は雑収入として受け入れる事となります。
当社は、店内改装のための費用の融資を受けるに当たり保証協会の保証を受けて3年間の保証にかかる保証料を約15万円一括で支払いました。その際全額を損金処理したところ未経過部分は前払費用であるとの指摘を受けました。
長期借入金の保証にかかる保証料は、繰延資産や固定資産ではありませんからいわゆる20万規定はありません。また期間が1年を越えるものは短期前払費用の規定からもはずれますので、期間に対応して費用計上しなければなりません。保証期間が1年以内のものは支出時の損金となります。
20周年創立記念に際し、ホテルにおいて得意先と仕入先や取引銀行関係者等を招待し、記念パーティーを実施しました。招待者から相当額の祝儀を受取り、ホテルに支払った額からこの祝儀を差し引いた純額を交際費として処理しました。
今回の税務調査で、祝儀の額を差し引く前の支払費用全額が交際費等にあたるとして修正申告をすることとなりました。
この場合の「祝儀」とは、あらかじめ案内等で会費制によるパーティー費用の一部負担金とは性質が異なり、招待客の好意により受け取る性質のものですから、交際費より差し引くことはできません。したがってパーティー費用とは分離して、祝儀の額は雑収入で受け入れるのが正しい処理になります。
当社では、役員のみを対象に傷害保険に加入していました。税務調査時に、「役員又は特定の使用人のみを対象に契約した場合は、報酬・給与として所得税の課税対象になる。」と指摘を受け、役員賞与として認定されました。あわせて本人から源泉所得税を徴収しました。
法人契約で傷害保険に加入するには、まず公平であるかどうかが重要となります。役員又は特定の使用人のみを対象に契約する場合は、それが会社で定められた規則上合理的かつ公平であるかどうかが問題となります。したがって取締役会議事録等で内規を定める旨決議し、加入にかかる条件を各社員公平にしておくのがよいでしょう。もし、公平に加入させることが困難であれば保険料相当額を所得税の課税対象に算入しましょう。
当社は建設業です。元請会社の下請協力会社で構成する親睦会に加入しています。この年会費を会費処理したところ交際費等に該当するとして、否認されました。
会費・諸会費・組合費など、特に建設業界や銀行金融機関の主催する会の会費などは注意が必要です。会則の存在目的などで親睦が目的であるものは、会費と言えど交際等に該当します。また、その会の収支報告書から主な活動が旅行や会食であると判断されるものも同じです。
取引先の担当者個人へ他の販売先を紹介してもらった手数料としてリベートを支払いました。個人ということで帳簿への支払先の記入はしませんでした。経理処理は「手数料」としました。税務調査時これの指摘を受けて交際費課税並びに使途秘匿金重課を受けました。
事例のケースでは支払先の名を明らかにしませんでしたので「使途秘匿金」として40%が通常の法人税に加算されるのはいたしかたありません。また、リベートはあらかじめ契約に基づき支払われた手数料か単なる謝礼かで交際費等に該当するか否かを判断するのがよいでしょう。もちろん手数料であるならば契約書の備え付け保存は言うまでもありません。
代表者の弟が会社を経営しており、資金繰りが大変苦しい状況でしたので貸付をしました。この貸付金につき役員賞与とされました。
法人格を有し利益追求のための経済活動をするのが会社です。取引先や会社と直接なにも関係のない個人や法人にお金を融通したとなれば、それは代表者個人の判断都合で勝手にしたものですから自社の貸付金にはなり得ません。取締役会で決議されなければ代表者といえど勝手にお金を融通するわけにはいかないのです。議事録を整備しましょう。
常務取締役は 業務遂行の為 海外渡航をしましたが 一部観光旅行も入っており 渡航費用の一部が 役員賞与の認定を受け 常務の源泉対象となり、かつ法人税上 役員賞与として 否認を受けました。
業務上とは言え 海外渡航については 充分なる注意が必要です。観光部分は源泉対象、役員賞与となります。
いずれにしても ビザの種類、旅行目的、旅行先での行動、旅行経路、期間、業務報告の内容、行動の曜日 などを総合的に判断して 区分計算する必要があります。これには 旅行の前後を通して 必要書類、資料を保存しておく事が大切です。
当社は同族会社です。代表者に出張旅費としてX年○月△日の旅費実額と一泊のホテル代及び日当の支払をしました。ところがある社員2人の日報によるとこの日は社長と打合せとなっていました。2人の日報が間違えていて社長の出張が正しいか証明できなかったので、この旅費につき役員賞与にあたるとして否認されました。
この場合、これがきっかけとなり社長の旅費が全面的に調査を受け証明できない旅費に相当額の課税がされるでしょう。会社(役員賞与、法人税)、社長個人(所得税、源泉)とダブルパンチとなります。出張旅費の支払、決裁方法には
何通りかが有ると思われますが、旅費、ホテル代、など 規定額を支払う 方法、領収書を確認して実額
を支払う方法等です。規定額を支払う場合であっても、出張者に 旅費、ホテル代の領収書等の 提出を求め、その出張が
行われていた事実を証明出来るように しておきたいものです。出張が事実なされた場合であれば、旅費、ホテル代、現地の何らかの領収書など が必ず
有る筈です。このケースでは、虚偽架空があったとして重加算税が課されますし、消費税も追加納税となります。
出張にかかる航空券代、新幹線代を金券ショップで購入し、旅費規程上の出張手当及び宿泊手当のみ後日の精算としました。この出張が現実行ったものか証明できず、疑わしいとして一部役員賞与と認定されました。
現実の出張であれば、現地でのタクシー代、飲食の領収書等何らかの証憑があるはずです。また、業務日報等の原始記録もきちんと記載してつじつまが合っていないと証明はできません。記録の保管、日報の記入を怠らずに実施しましょう。
当社は代表的な同族会社で、役員もすべて血縁者です。代表者の妹を非常勤取締役とし、月額報酬50万円を支払っておりました。この報酬が過大として一部否認されました。
非常勤であっても現実経営に参画しているのであれば問題はないのですが、名ばかりの取締役というケースが多いようです。参画していれば交通費の精算、何らかの書面の筆跡・押印、定期的な取締役会を開催してそれに参加した議事録等がなければ客観的に証明することはできません。またその報酬を本人の生活通帳等自己の管理する通帳に振込まれていなければ不自然です。
決算書におおむね3年以上滞留した買掛金の残高があり、これを放置しました。調査時に指摘を受け雑収入の計上もれとして修正申告をしました。
一度は費用に計上した買掛金等の債務の弁済をしない理由は何かによりますが、相手方の請求がなかったり相手方そのものが存在しない等、支払う意思なしと見なされて雑収入に計上することとなります。毎決算には長期にわたり残高の異動していない債務がないかチェックしましょう。
ある法人は近々車の買い替えを検討していた処、決算対策を含めて決算期末直前に早めて車の買い替えを実行しました。旧車両の下取り損、新車取得費用の経費計上、減価償却費の計上
など決算の対策を行いました。税務調査の結果これが否認され、法人税、住民税、消費税の修正申告書を提出致しました。
考え方としては有効でしたが、買い替えが余りに決算期末直前であった為、買い替え契約は決算期内であり、また新車の車検証も決算期内の日付になっておりましたが、調査官が車のデイラーに納車日の確認を行った処、決算明け3日後であった
事が判明し、上記の否認につながったものです。事業用資産は、事業の用に供して
償却の対象になります。この例は、決算対策は日時の余裕をもって行い、納車の日程までデイラーに確認する位の慎重さをもって買い替えを実行するとの教訓でしょう。
パソコンをインターネットにより発注しました。決算期内に代金の振込み決済を完了しましたので、固定資産とし、減価償却費を計上しましたが、償却超過の認定を受け修正申告をしました。
最近はオークションをはじめ、会社の取引でもインターネットを介した取引が多く見受けられます。代金の決済は前金としているケースが多いようです。この場合注意しなければいけないのは、特に決算間際の支払の際納品日を確認してください。支払が完了していても、着金から5日~10日後の納品が普通です。減価償却の対象とする場合、事業供用が条件ですから納品されて組立をし、稼動させなければ償却はできません。
倉庫に保管してある在庫の実地棚卸を行ったところ、机上棚卸との間に差額が生じたのでロス相当分を計上し、棚卸商品の減耗損失を発生させました。このロスの原因は倉庫担当の従業員の不正がかなりを占めることがわかりました。このロスの一部が損金不算入とされました。
まず、不正ができないような環境を作ることが大事かと思われます。この場合通常であれば現物給与として、源泉所得税相当額の納付を求められるところですが、従業員が特定できなかったので交際費等損金不算入となったものでしょう。
当社は子会社の仕事を一部当社の社員に手伝わせていましたが、その業務分担の契約書がなく、また業務の対価を請求していなかったため、その社員の給与が一部寄付金にあたるとして否認されました。
経営者から見ると、自分の支配下の会社の社員はA社もB社も同じに思いがちです。ですが、A社とB社は明らかに人格が違うのです。したがってB社の仕事にA社の社員が従事したとすればA社がその人件費を負担したことになります。まず、人事的に交流があるならば、契約書等を作成して相応の対価の支払をして対応する様にして下さい。もしその業務が長期に渡るのであれば転籍という考え方もあるでしょう。
当社には、経理事務や庶務総務を担当する部署を設置しておりません。そこでグループ会社に業務を委託し報酬を支払っていました。税務調査時に内容が不透明だとして一部否認されました。
まず「実態としての」具体的な委託内容が契約書等で定められていることが重要となります。そして報酬はその実態相応の根拠計算をして設定してください。これは実際にその業務をする担当者の給与等に基づき作業時間等を想定して計算しておくなど合理的な根拠を明確にしておくとよいでしょう。
当社は子会社から商品を仕入れて、外部に販売しています。この中の一部の取引について、外部取引先との力関係の上で、一定期間かなりの値引きをして販売しました。その結果、子会社からの仕入金額を下回ることなり逆ざやとなってしまいました。この損失部分につき寄付金認定を受けました。
現実的に実態としてまったく資本関係のない会社であれば、やむをえない事として認容されるのではないかと思います。代表者、株主等が両者同一であったり、実質支配者が同じであれば本来得るべき利益を子会社に付け替えたと同じ効果がありますから、これは寄付金の対象となります。
当社は工事完成基準により、売上を計上しています。工事はほぼ終了しましたが、決算あけ翌月に引渡しをしたため、決算内の売上計上を見送りました。この売上につき売上計上もれを指摘され修正申告を行いました。
建設業に限らず、完成主義により売上を計上する設計やソフトウェアの開発をする業種では大変よくある否認事項です。完成したかどうかの判断は、原価の発生をチェックしましょう。仕事の進行中は費用が必ず発生します。引渡完了証、物品受領書等を作成しておくことも非常に大事ですが、大きな外注費労務費等の原価の発生がなく、調印確認検査等のための交通費くらいのわずかな費用のみ決算あけに発生したとしてもそれは決算期内の完成と認識される可能性があります。