税務調査例データベース

源泉所得税関係

結婚祝金が多額な場合の課税関係

事例

当社は住宅販売会社です。社員が結婚した場合に、社内規定に基づき祝金を贈ることがあります。当社でも今回、社内規定により祝金1万円贈る予定でした。ところが、その社員は販売成績優秀な模範たる社員であり、社長の判断で祝金5万円を贈ることになりました。

アドバイス

祝金については、原則的には給与等に含まれ所得税の課税対象となりますが、その金額が社会通念上相当額であると認められる場合には所得税の課税対象としなくてもよいとされています。社員に贈った祝金の金額が多額で認められないとされた場合、その全額が所得税の課税の対象となります。祝金5万円から、1万円相当を引いた残りに対して所得税を課税する事はできません。これはこの規定が、もともとは給与等として所得税の課税対象となるものを、社会通念上相当額と認められるものについては課税しなくてもよいというものであり、超える部分について課税するというものでは無いためです。 明らかに多額な祝金を贈る場合には源泉徴収の金額に注意してください。

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非居住者に対する不動産賃借料

事例

当社は、事務所用地を個人から借りていました。
昨年その貸主の方がお亡くなりになり、海外にお住いの息子さんがその土地を相続することとなったので、その方と改めて同じ内容で土地の賃貸借契約を結び、指定口座への支払いをしておりました。
しかしこの度の税務調査により、非居住者に対する源泉徴収をするように指摘を受けました。

アドバイス

これまでと同じ内容で、土地の賃貸借契約を引き継げたとしても、その相手方が非居住者である場合には、非居住者に対して支払う不動産の賃貸料等として20.42%の源泉徴収を行わなければなりません。
またこの源泉徴収をした所得税については、給与等と異なり「非居住者・外国法人の所得についての所得税徴収高計算書」を用いて、支払った翌月10日までに納付しなければなりませんのでご注意ください。
また、1月に提出する法定調書も「非居住者等に支払われる不動産の使用料等の支払調書合計表」を用いることとなりますので併せてご注意ください。

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定年前退職者等に支給する転進助成金

事例

退職後に再就職しようとする社員に助成策として転進助成金制度を導入し、社員が転進後(退職後)の職業に役立つ資格、技能を習得するために受講又は受験した社外講座、試験に要した費用を支給しようと思っています。
この転進助成金を受ける社員の課税上の取り扱いはどうなりますか?

アドバイス

この場合の転進助成金は、給与所得又は雑所得に該当します。

○退職前(雇用関係継続中)に支給が確定する場合
 雇用関係に基づいて受ける給付ですから、給与所得に該当します。

○退職後(雇用関係終了後)に支給が確定する場合
 退職に基因して支払われるものではなく、また、本制度の対象となる講座や試験に該当しなければ助成は受けられない(転進後の就職に役立つことを目的として一定の受講等に要した費用を支弁するものです。) ことから退職所得、及び一時所得のいずれにも該当しないので、雑所得に該当することとなります。


なお、この転進助成金は、使用者の業務遂行上の必要に基づき、使用人としての職務に直接必要な資格、技術の習得を目的としたものではないため、非課税とはなりません(所得税基本通達9-15)。

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株主代表訴訟に係る費用負担

事例

株主代表訴訟の弁護士費用等を会社が負担してよいものか検討中です。もし役員が敗訴した場合は給与として課税されると聞いたのですが本当でしょうか。

アドバイス

株主代表訴訟とは、会社が取締役の会社に対する責任を追及しない場合に、株主自身が会社のために取締役の責任を追及する訴訟をいいます。

会社の役員は、株主から損害賠償請求訴訟を提起された場合に、その訴訟が勝訴又は敗訴にかかわらず争訟費用及び損害賠償金を自ら支払わなければなりません。これらの費用を会社が負担したときは、次のとおりです。

①役員勝訴の場合
 当該役員の職務が適正に遂行されていることが確認されたものであるため、その全額が損金となり、役員に対する課税は行われません。

②役員敗訴の場合
 当該役員は過失等により会社に損害を与えたことが確認されたものであるため、その全額が当該役員に対する給与(役員賞与)とされ、かつ法人の所得金額の計算上損金不算入とされます。

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弁護士等に支払った交通費等

事例

当社の地方支店の紛争案件の相談のため顧問弁護士に、その地方支店まで出張してもらい打合せを行いました。顧問弁護士からは、その報酬とともに交通費・宿泊代を請求され支払いました。その際、報酬部分についてのみ源泉徴収の対象としたところ、交通費等の部分についても源泉徴収の対象とすべきであるとの指摘を受けました。

アドバイス

源泉徴収の対象となる報酬を、車代・旅費・日当等の他の名目で支払った場合でも実質的に報酬・料金に該当すれば、源泉徴収の対象としなくてはなりません。(所法36②、所基通204-2)

実費弁償の旅費などは給与所得者が使用者から支払われる場合のみ非課税となります。しかしながらこれら旅費は当然に実費弁償に充てられるものですので、弁護士に交付しないで、報酬等の支払者から直接鉄道会社やホテル等に支払われ、その金額が通常必要であると認められる範囲内の金額であれば、源泉徴収をしなくても差し支えありません。(所基通204-4)

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人間ドックの費用について

事例

A社では、年1回、2日間の人間ドックを社内規定により年齢40歳以上の役員及び使用人を対象にして、検診を実施することにしました。この人間ドックによる検診費用は、1人当たり約5万円かかりますが、全額当社で負担します。
  なお、本人の希望などにより受診しなかった者については、人間ドック検診費用の7割相当額の3万5千円を現金で支給することにしています。
  3万5千円を現金で支給した場合、人間ドック検診と同じように福利厚生として考えてもいいでしょうか?

アドバイス

使用者が負担した健康診断費用に係る経済的利益については、原則として役員又は使用人に対する給与として課税されますが、次のような条件を満たしている場合には、課税しなくても差し支えないこととされています。

  1. 全従業員又は一定年齢以上の者がすべて対象となること。
  2. 検診内容が健康管理上の必要から一般に実施される2・3日程度のものであり、その経済的利益の金額が著しく多額でないこと。

A社の場合、1人当たりの検診費用が5万円程度であれば、著しく多額であるとは認められませんから、指定日に受診した者については課税されません。ただし、現金支給された者はたとえ後日検診を受けたとしても、金銭での支給ですので給与として源泉徴収の対象となります。

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従業員に対する自社製品の値引販売

事例

社員向けセールとして商品を従業員に原価で販売していたところ、
 今回の税務調査で従業員への給与として源泉徴収の対象になると指摘されました。

アドバイス

社内割引すべてが認められないわけではありませんが、社員への利益供与の度合いが高すぎると給与として認定されてしまいます。
  そこで以下の要件を全て満たす販売であれば、給与として所得税の課税関係は生じないものとされています。

  値引販売の価額が、使用者の取得価額以上で、しかも、通常他に販売する価額のおおむね70%以上であること
     
  値引率が、役員や使用人の全部について一律に、又は役員や使用人の地位、勤続年数等に応じて全体として合理的なバランスが保たれる範囲内の格差により定められていること。
     
  値引販売をする商品等の数量が、一般の消費者が家事のために通常消費すると認められる程度のものであること。

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年末調整での非居住者であった期間内の社会保険料控除

事例

海外勤務から帰国し居住者となった社員に、海外勤務時の非居住者期間時に留守宅渡しの給与を支払い、その際に社会保険料を控除しました。
 この社員の年末調整でこの社会保険料の控除をおこなっていたが、社会保険控除の対象ではないと指摘を受けました。
 また非居住者であった期間内に支払った生命保険料も生命保険料控除の対象にはならないと指摘を受けました。

アドバイス

社会保険料控除は、居住者に該当する時点でその年に支払ったものが控除の対象となり、非居住者であった期間内の給与から控除した社会保険料は控除の対象とはなりません。
 また生命保険料についても同様です。
 ただし年払いの場合はその支払の時点が居住者であれば支払額の全額が生命保険料控除の対象となります。

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海外渡航費

事例

当社は製造業を営んでおります。このほど同業者組合が主催する海外の工場の視察旅行に参加し、その旅程5日のうち1日の観光以外は視察のためにあてられていたため、かかった費用の全額を旅費で処理したところ、その処理には問題があるとの指摘を受けました。

アドバイス

視察の機会に併せて観光が行われる場合、その視察が社会通念上業務の遂行上必要なものであれば、旅行日程の区分による業務従事割合を基礎として「損金等算入割合」を使い、旅行に通常要する費用に乗じて旅費として処理する金額を算出します。
  (算式)視察等の業務に従事した日数/視察等の業務に従事した日数+観光を行った日数
  ただし、
 ①損金等算入割合が90%以上となる場合、全額を旅費として処理します。
 ②10%以下となる場合は旅費として処理できません。
 ③50%以上の場合、その旅行に通常要する費用の額を「往復の交通費」と「その他の費用」に区分し、「その他の費用」×損金等算入割合と「往復の交通費」全額を旅費として処理します。
  旅費として処理できなかった金額はその参加者に対する給与と認められる場合、現物給与として源泉徴収を要します。また「日数」の区分については専門家にお尋ねください。
  (法基通9-7-6、9-7-9  平12.10.11課法2-15、課所4-24、査調4-29)

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個人年金保険契約の生命保険料控除について

事例

年末調整において、社員が扶養親族である子供を受取人とした個人年金保険契約に係 る保険について、保険料等を保険料控除申告書に記載し、控除証明書の添付をしていたので、生命保険料控除の対象として年末調整の計算を行っていました。
  後日、税務調査においてこの保険契約では生命保険料控除の適用を受けることはできないとの指摘を受けました。

アドバイス

個人年金に係る生命保険料控除を受けるための要件として、受取人は本人又はその 配偶者となっていること、保険料払込期間が10年以上であること、年金の受取は60歳以後で10年以上の定期年金又は終身年金であることが挙げられます。
  事例の場合、受取人が子供であることから要件を満たさず生命保険料控除の適用は受けることができません。
  生命保険料控除の適用を受けるための受取人の要件は、一般の生命保険料については、本人及び配偶者のみならずその他の親族が含まれるのに対し、個人年金保険料については、その他の親族は含まれないことに注意が必要です。

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日給アルバイトの丙欄適用

事例

当社は忙しい時期だけ日給8,000円で日雇いのアルバイトを採用し、源泉徴収せずに支給しておりました。
その後、また業務が立て込んだので同じ人に声をかけて同じく日給8,000円でアルバイト料を払い、源泉徴収していなかったところ、税務調査において、雇用期間が2か月を超えているので、「日額表」の「甲欄」または「乙欄」で源泉徴収するように指導を受けました。

アドバイス

日雇いアルバイトに給与を支払う場合であっても、原則として「給与所得の源泉徴収税額表」の「日額表」の「甲欄」又は「乙欄」を用いて源泉徴収税額を算定します。
しかし、@雇用契約期間が2か月以内と定められている場合、又はA雇用契約期間を定めていなくても継続して2か月を超えていない場合には「日額表」の「丙欄」を用いて計算することとなります。
今回の事例のように再雇用であっても結果的に契約期間が2か月を超えた場合には再雇用以降「日額表」の「丙欄」を使うことができませんので注意が必要です。丙欄の適用であれば、「扶養控除等申告書」の取り付けは不要ですが、2か月を超える場合など丙欄の適用がなくなる際には「扶養控除等申告書」を取り付けるようにしましょう。

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給与所得者の扶養控除等申告書の提出について

事例

当社は、小売業を営む社員30人ほどの会社です。平成23年6月に税務調査を受けました。
毎月の給与計算をする上で、全社員について甲欄を適用し源泉所得税額を算出していましたが、平成22年11月末に入社した社員と、平成21年5月に退職し、翌年22年4月に再度入社した社員について、平成22年分給与所得者の扶養控除等申告書の提出がないことが判明しました。
調査官は申告書の提出のない者について支給した給与に付いては乙欄で計算して源泉徴収すべきですと指摘を受けました。

アドバイス

給与所得者の扶養控除等申告書は給与の支払を受ける人(給与所得者)が、その給与について配偶者控除や扶養控除、障害者控除などの控除を受けるために行う手続です。
提出時期はその年の最初に給与の支払を受ける日の前日(中途入社の場合には、入社後、最初の給与の支払を受ける日の前日)までに提出します。国内において給与の支給を受ける居住者は、控除対象配偶者や扶養親族の有無にかかわらず原則としてこの申告を行わなければなりません。
また、当初提出した申告書の記載内容に異動があった場合には、その異動の日後、最初に給与の支払を受ける日の前日までに異動の内容等を記載した申告書を提出します。
この申告を行わない場合は、月々(日々)の源泉徴収の際に受けることのできる諸控除が受けられず、また年末調整も行われないことになります。
また、2以上の給与の支払者から給与の支払を受ける場合には、そのいずれか一の給与の支払者に対してのみ提出することができます。なお、適用される税額表が日額表の丙欄とされる人は、この申告書を提出する必要はありません。

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監査役に付与したストックオプション

事例

当社では昨年、創業者の親族である監査役に対し、譲渡不可の新株予約権 を無償にて付与いたしました。
この度当監査役は権利を行使し、1株当たり1,000円で取得(時価1,200円)いたしました。税制適格ストックオプションに該当するものと考え、行使時点では何ら課税関係は生じないこととして処理いたしましたが、税務調査において税制非適格であるとの指摘を受けました。

アドバイス

権利行使により取得した株式が譲渡されるまで課税が繰り延べられる、所謂 「税制適格 ストックオプション」とは次の要件を満たしていることが必要です。

①付与対象者要件
株式会社または株式会社がその発行済株式(議決権があるものに限る)総数の50%超を直接又は間接に保有する関係等を有する法人の取締役、執行役若しくは使用人である個人であること(一定の大口株主等を除く)

②発行内容要件

  1. 権利行使は付与決議の日後2年を経過した日からその付与決議の日後10年を経過する日までの間に行わなければならないこと。
  2. 権利行使価額の年間の合計額が1,200万円を超えないこと。
  3. 1株あたりの権利行使額はストックオプション権利付与契約締結時におけるその株式1株あたりの価額相当額以上とされていること。
  4. 新株予約権については、譲渡をしてはならないこととされていること。
  5. 権利行使により取得する株式は、一定の方法によって金融商品取引業者等の振替口座簿等に記載がされること。(保管委託等されること)また、付与翌年の1月31日までに税務署への支払調書の提出が必要となります。

事例の場合、監査役は①の対象者である取締役等に非該当であり、行使の日が②-1)の2年経過以前であったためと考えられます。 従ってこのケースでは行使をした監査役本人には給与所得として経済的利益の額 が課税されます。また、法人では権利行使時に役務提供費用が役員給与(臨時のため定期同額給与外、損金不算入)となります。その役務提供費用の額は、その新株予約権の発行時における公正な評価額とされています。

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死亡後に支払った退職金

事例

従業員が定年を迎え、退職金を支給することになりましたが、退職後まもなく交通事故で死亡しました。そこで遺族に退職金を支給しました。この退職金は相続税の課税対象となると考え所得税の源泉徴収をしませんでした。
後日税務調査があり、、退職所得として所得税の源泉徴収が必要であると指摘を受けました。

アドバイス

退職手当金等は支給すべきことが確定した時期に応じて取扱方が変わります。この事例の場合、その従業員の死亡前に退職金が確定していたので、通常通り退職所得として源泉徴収の対象となったと考えられます。 また、この事例以外でも次のように取扱方が変わりますのでご注意下さい。

  1. 死亡後3年以内に支給すべきことが確定したものについては、相続税の課税対象とされ、所得税は課されません。
  2. 死亡後3年経過後に支給すべきことが確定したものについては、遺族の一時所得とされます。源泉徴収の必要はありません。

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家族の社会保険料

事例

当社は経理部が社員の年末調整を行っています。
数人の社員が、扶養家族である子供の年金保険料を保険料控除申告書に記載していましたので、その分についても社会保険料控除を適用して源泉所得税の還付をしていたところ、扶養家族に関する国民年金保険料であっても、その扶養家族名義の口座から自動引き落としされている場合には親の方で社会保険料控除を受けられない旨を指摘されました。

アドバイス

生計を一にしている家族の分の社会保険料を支払った場合には、それが本人の分でなくても、その支払った人の所得税の計算において、社会保険料控除を受けることができます。
この適用はあくまで支払った人について適用があるため、口座引落の場合には、その口座名義人が支払ったものと見られ、その分は他の家族の計算上、社会保険料控除が受けられませんので注意が必要です。
ですので、もし他の家族の方で社会保険料控除を受けたい場合には、口座引落にしないことをお勧めいたします。
このことは国税庁のHPにも出ておりますので、参考になさってください。

http://www.nta.go.jp/taxanswer/shotoku/1130_qa.htm#q3

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役員のみの人間ドック費用

事例

当社では毎年健康管理の一環として健康診断を義務づけていますが、役員については2泊3日の人間ドックを検診させています。その検診費用は一人約15万円かかりますが、全額を会社で負担していましたが、今回の税務調査で人間ドック費用は役員に対する給与として源泉徴収が必要だと指摘され納付することになりました。

アドバイス

健康診断費用は全役員・使用人又は一定年齢以上の者がすべて対象になっていて、健康診断費用が多額でない場合には、所得税を課税しなくても差し支えないことになっていますが、今回の場合人間ドックが役員のみ対象であり一人約15万円の費用が多額であると判断され源泉徴収が必要だと判断されたものと思われます。

今後は役員のみと限定せず一定年齢以上の者を対象とした人間ドックで、一人あたりの費用が多額(約5万円程度)でないものへの変更を検討するようにして下さい。

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社長親族に支給した学資金

事例

当社は日用品の輸出入業を行っている関係で、社長の子息が会社に入社するにあたり将来の幹部として語学を学ばさせるため、大学在学中に1年間の海外留学費用を学資金として支給し福利厚生費として経理していましたが、このたびの税務調査でこの学資金は社長の子息だからこそ支出したのである為、社長への給与として源泉徴収漏れを指摘されました。

アドバイス

役員又は使用人に職務に直接必要な技術や知識を習得させるための研修会や講習会等の費用を会社が負担した場合には適正なものに限り所得税を課税しなくても差し支えないことになっていますが、役員又は使用人の子弟の修学のための学資金として支給されたものは、その役員又は使用人の給与として課税することになっていますので、今回の場合社長の子息という特別な身分関係によって支出されていますので、臨時の給与として社長に対する役員賞与として源泉所得税の徴収が必要になります。

役員又は使用人の子弟に学資金を支給する場合にはその役員又は使用人に対して源泉徴収が必要になりますので注意が必要です。

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残業食事代

事例

当社は精密機械を製造するメーカーですが、取引先への納期が迫っている場合に従業員が残業をした時に夕食代を現金で支給し福利厚生費として経理処理をしていました。
今回税務調査を受けた時に残業時の食事代とはいえ、現金での支給は従業員への給与として源泉徴収の対象になると指摘され、源泉所得税の追加納付をしました。

アドバイス

残業した際に支給する食事については課税しなくても差し支えないとされていますが、現金で支給した場合はその支給が食事そのものでないため、支給した本人への給与手当の一種として取扱われますので、源泉徴収の必要がでてきます。
従って今後は、現金での支給ではなく出前や弁当を購入するなどして食事そのものを支給するようにして下さい。

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選択できる永年勤続記念品

事例

当社では永年勤続者表彰に当たり、置時計を記念品として支給しています。しかし表彰対象の従業員が置時計は間に合っているとのことでしたので、置時計と同じ金額の範囲内で品物を選択させ、その希望の品物を会社で購入し、それを代わりに永年勤続者表彰記念品として支給しました。しかし、税務調査において非課税対象の永年勤続記念品には該当しないとして源泉徴収漏れを指摘されました。

アドバイス

品物の支給はその金額の大小にかかわらず、原則給与等として課税されます。しかし、永年勤続記念品については、社会一般的に行われているものとして、以下の要件を満たすものに限り、例外的に課税されないこととされています。
(1)市場への売却性、換金性がないこと。
(2)品物の選択性がないこと。
(3)その金額が多額となるものでないこと。

今回の事例では、従業員が品物を選択しているため、(2)の要件を満たしておらず、従業員が金銭を支給され、その金銭で品物を購入した場合と同じ効果をもたらします。 そのため非課税とはされず、源泉徴収の課税対象となるので注意が必要です。

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低利による住宅取得資金の貸付

事例

当社では社内規程により住宅取得資金を低利にて従業員に対して貸付をし、租税特別措置法第29条により現物給与として課税せずにおりましたが、確認したところ、半年ほど前からその住宅を他人に対して貸付ていることが解り、措置法の適用は受けられないとして半年間遡って追加徴収を求められました。

アドバイス

従業員に対する住宅取得資金の低利貸付の経済的利益の課税の特例は、その者の居住の用に供する住宅等の取得に要する資金に充てられるものに限ります。よって、今回のようにその住宅を他人に譲渡又は貸付けた場合においては、特例の適用がなく居住の用に供さなくなった日以降の期間に対応する経済的利益は給与として課税されることとなります。
この経済的利益は原則として次のようになります。

1.その貸付資金が他から調達したものである場合
(その調達資金の金利率によって計算した金利)−(その従業員が負担した金利)

2.1以外の場合
(貸付を行った日の属する年の前年の11月30日を経過する時におけるいわゆる公定歩合に年4%の利率を加算した利率によって計算した金利) −(その従業員が負担した金利)

従ってこの事例では上記に従い、過去に遡及して経済的利益に対して所得税の源泉徴収をすることとなります。 この措置法の特例を受けた場合、定期的に本人に対する確認業務が重要となりますので、転居届けや、扶養控除申告書などで十分確認することとして下さい。

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事務員服の支給

事例

当社では、事務員に対し事務服を着用させていましたが事務員が一人という事もあり、本人に好きな事務服を選んでもらう為、一定額を現金で渡し事務服を購入してもらっていましたが、後日領収書での精算をしていませんでした。税務調査において、給与所得とされ源泉所得税が追徴されました。

アドバイス

職務の遂行上、制服等を着用する場合に対しての支給又は貸与については、所得税法上は非課税とされています。しかし今回の事例は、制服等の支給又は貸与に代えて金銭を支給したために給与所得とされました。金銭の支給は、後日実費精算されない場合には金額の多少にかかわらず給与所得とされますので注意が必要です。

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従業員へ支払う寸志等

事例

当社では、全従業員を対象に毎月一定額以上の売上高を達成した人に、寸志として1万円を現金で支給し、福利厚生費として処理していましたが、今回の税務調査で給与所得課税との指摘を受け、対象者は再度年末調整を行い源泉所得税の修正納付をしました。

アドバイス

給与所得とは棒給、賃金、歳費、賞与のほか、これらの性質を有するものをいいます。従って今回の場合、雇用契約等に基づいて支給される慶弔金などとの違い、業務成績により支給対象となる寸志(報奨金)は給与所得として、源泉所得税の対象となりますので、支給金額にかかわらず給与計算時に給与課税対象として源泉徴収事務を行うようにして下さい。

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部課ごとに行われるレクリエーション費用

事例

当社は社員数が大勢いるため年に一回部署ごとにレクリエーションを行っていました。一人あたりの金額は会社で定めた金額を負担していましたがその使途については特に報告を求めていなかった為、その費用は源泉所得税の対象になるとの指摘を受けました。

アドバイス

会社全体でのレクリエーションが行えないため部署ごとに行うことはよくありますがその場合でも、(1)一人あたりの金額が公平であること(社内規定があることが望ましいです)(2)必ず領収書等を添付した報告書を提出させること、(3)金額に余剰が出た場合には会社に返金させること、等によりレクリエーション費用を源泉所得税の対象としないことができますので今後は負担した金額の使途も明確にするように社内規定を整備するようにしましょう。 なお レクリエーション費用とはいえその回数、一人当たりにかかる費用総額など一般社会通念上の常識から見て逸脱してはならないことは言うまでもありません 。

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マネキン紹介所から紹介されたのマネキンへの報酬

事例

当社はデパート、スーパー、一般小売店の店舗での販売にマネキン紹介所から斡旋された、マネキンを店舗に派遣し、報酬を全額マネキンに支払っていましたが、今回の調査でマネキンの報酬は給与に該当するとしてマネキンに対する報酬についての源泉所得税の徴収もれを指摘されました。

アドバイス

マネキン紹介所から紹介された、マネキンへの報酬は給与に該当しますので支払者は、源泉所得税を徴収し納付が必要となります。
尚、人材派遣業法の適用業種で厚生労働大臣の許可等を受けている人材派遣会社に支払う報酬は給与に該当しませんので、源泉所得税を徴収する必要はありませんが、マネキン紹介所の派遣は人材派遣業の適用業種ではありませんので注意が必要です。

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現物支給通勤手当

事例

当社の従業員には、自家用車通勤者と交通機関利用者がいます。自家用車通勤中の1名が、遠距離通勤の為、高速道路を使用しないとかなりの時間がかかってしまい、自動車使用通勤手当とは別に高速券を本人に渡していましたが、今回の調査で非課税限度額を超えていると指摘され超過分について源泉徴収されました。

アドバイス

現物支給の高速券代も通勤手当の一部です。この場合片道15q以上の場合交通機関の利用による運賃と自動車等交通用具の使用の非課税限度額の多いほうが通勤手当非課税限度額となります。非課税限度額を超えた差額は、源泉所得税の課税対象となりますのでこのような現物支給がある場合には注意が必要です。

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退職所得の受給に関する申告書の提出がない場合

事例

当社は中規模の食品小売業ですが、半年前に退職した社員に社内規定により退職金を約280万円支給しました。その際に何かの手違いで、退職所得の受給に関する申告書を本人より提出されていないことが今回の税務調査で判明し、20%の所得税を会社で納付するよう求められました。

アドバイス

退職金に対する課税は分離課税制度がとられていますので、年末調整のような税額の清算手続きはなく、原則として支払い時の源泉徴収によって課税手続きは終了します。この税額計算の基礎となるのが「退職所得の受給に関する申告書」です。退職社員からこの申告書の提出がない場合には支払い時に、退職金支払額の20%の所得税を源泉徴収する必要があります。したがって、この事例の場合会社で立替納付し、後日、会社は退職社員から徴収することになります。退職社員は、この税額の過不足の清算を本人が確定申告することになります。 退職金の支給時には必ず「退職所得の受給に関する申告書」が必要です。支給時に本人に記入してもらい会社で保管して置きましょう。

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納期の特例適用者の従業員が常時10人以上となった場合

事例

当社では、源泉所得税の納期の特例制度の適用を受けていましたが、先日の法人税等の税務調査時に、調査官から、従業員数が3ヶ月ほど前から常時14人になっているので、「源泉所得税の納期の特例」の要件に該当しなくなっています。速やかに、該当しなくなった旨を記載した届出書を税務署に提出するよう指導がありました。その場合、提出時期によっては附帯税として不納付加算税と延滞税が課せられる場合があります。との指摘も受けました。

アドバイス

納期の特例制度の適用を受けていた源泉徴収義務者において給与の支払を受ける人が常時10人以上となった場合には、速やかにその旨を記載した届出書「源泉所得税の納期の特例の要件に該当しなくなったことの届出書」を所轄税務署長に提出しなければなりません。この場合の納期限は、届出の日の属する月分以前の各月分については、その届出の日の属する月の翌月10日であり、また、届出の日の属する月の翌月以降は、通常の法定納期限である翌月10日になります。

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外国人のアルバイト料

事例

当社では、従来から日本での滞在期間が6ヶ月の予定の、日本語学校に通う中国人学生数人をアルバイトとして雇用し、月額約5万円〜7万円のアルバイト料を、所得税を源泉徴収ぜず支給してきました。今回の税務調査で、源泉徴収もれと指摘を受けて、20%の税率で源泉徴収の必要があると指導を受けました。

アドバイス

日中租税協定21条により、「学生」が教育又は訓練をしながら受取る所得は免税とされていますが、免税の規定を受けることが出きる「学生」の範囲について「学校教育法1条に規定する学校の生徒」と規定されています。学校とは、小・中・高・大学・高等専門学校等をいいますので、日本語学校のようないわゆる専門学校に通う就学生については、租税協定に規定する学生の免税条項の適用はないということになります。ところで短期滞在については、現在のところ就労は認められていないようです。また、留学・就学等については「資格外活動」の許可を受けることによりアルバイトをすることが出来ます。

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芸能スタッフ等の源泉徴収

事例

当社は映画、ビデオ関係の制作をしている会社です。スタッフは殆どが外注です。 そのスタッフの報酬を支払う時に、個人で事業をしている外注先に、請求金額の全額を支払ってしまった為、税務調査で源泉徴収モレを指摘され10%の源泉所得税と不納付加算税を納付しました。

アドバイス

映画、演劇等 報酬支払の源泉徴収義務は、支払をした会社にあります。支払時に源泉徴収をしていない場合でも会社が納付をしなければなりません。併せて不納付加算税もかかります。必ず源泉徴収をして、翌月10日迄に納付して下さい。

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法人への源泉徴収義務

事例

当社は創立30周年パーティーに際し、余興として芸能プロダクション会社から芸能人を呼んでディナーショー形式のコンサートをしました。調査時に、芸能人の所属する会社に支払った報酬に対して源泉徴収義務ありとして追加納付を求められました。

アドバイス

源泉徴収をしなければならない対象は「個人」という固定概念があるかと思われますし、一般的になっているでしょう。しかしながら(1)芸能人の役務の提供を内容とする事業を行う法人に芸能報酬を支払った場合(2)競馬の馬主が法人で、金銭で支払われる賞の2項目は法人といえど源泉徴収義務があります。ただし(1)の場合所轄税務署長から源泉徴収を要しない証明を受け、その提示があったときはこのかぎりではありません。

※税法改正により平成15年4月以降に内国法人へ支払う上記報酬等について源泉徴収制度が廃止されました。

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運送業外注

事例

当社は運送業を営む 法人ですが、運送事業において慣習として 行われている 形態に 個人外注制があります。いわゆる 車両を 名義会社のまま 個人に 形式上 売却をして その代金を 割賦にて回収する方式を取り(一般的にはリース料として)、個人の売上代金より 車両リース料、ガソリン代、保険料、修理代等を 天引きして個人外注に支払い、外注費として処理しておりましたが 税務調査でこれが 問題となり 外注費が給与と認定、源泉徴収もれ及び 外注費否認で 消費税の 追徴も受けました。

アドバイス

会社と個人外注との関係が実態として 請負 外注関係有りと認定されるには その業務の 指示、命令、専属か否か、車両の名義、取引基本契約関係、請求書、領収書、請求額の計算方法、車両の修理、ガソリン代の支払 回収 精算方法等など 実態として 請負 外注関係と認められるに相応しい状況が必要です、またこれは 運輸業における名義貸問題もからんできますので慎重に対応する事が肝要です。

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配偶者特別控除

事例

ある会社でA社員の年末調整について間違がないかと税務署より通知がありました。内容を確認するとその社員の配偶者特別控除の金額に間違いがありました。A社員は年末調整において配偶者特別控除申告書の配偶者の本年中の合計所得金額の見積額が0円になっていました。本人に確認してみると配偶者の収入が103万円未満だから所得金額0円と考えたようです。

アドバイス

配偶者には配偶者控除及び配偶者特別控除の両方の控除があり、配偶者特別控除の金額は配偶者の合計所得金額により控除額が変わります。申告書の裏面に詳しい合計所得の算出方法が記されていますので、よく読むよう指示してください。源泉徴収や年末調整における義務は、すべて会社(徴収者)にあります。したがって通知は会社に郵送されてくるのです。年調時に各自の申告書の確認には注意をしてください。

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永年勤続者表彰

事例

当社は永年勤続者のうち勤続20年になる者について2泊3日(約10万円相当)の国内旅行をさせてその旅行費用全額を旅行会社へ会社から支払をしていましたが旅行に参加できない者について10万円の商品券を支給していたところ税務調査において商品券を支給した者については源泉徴収の対象になるとして所得税を徴収されました。

アドバイス

永年勤続者に対する経済的利益としては勤続年数等に照らし一般社会通念上相当と認められその表彰が10年以上勤務した者を対象にして旅行や記念品を支給する場合には所得税は課税されませんが金銭支給(商品券を含みます)の場合には金額にかかわらず所得税の課税対象になりますので今後は記念品などの支給に変更すると良いでしょう。
なお、社内規定等に準拠して社員に 平等 均等に運用されなければならない事は言うまでも有りません。

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事務員に支払う給与

事例

当社では設立以来、社長の自宅のお手伝いさんに本社店舗ビルの清掃、管理、事務の業務をお願いして、会社で給与を支給し経費としていました。税務調査でお手伝いさん部分の給与は社長の個人経費であるとして給与総額の50%相当額が役員賞与であるとして否認されました。また、社長個人には源泉所得税が課されました。

アドバイス

当然といえば当然の否認ですが、業務に係る費用でなければ給与計算のうえで社長の給与より天引きの処理をしたほうがよいでしょう。そうすればお手伝いさんに社長個人から給与を支給して源泉徴収されないといった問題も解決できますから、より事務処理も簡潔になるでしょう。

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非課税交通費

事例

当社の社員は、自家用車を使用して通勤する人が多くいます。通勤手当の金額の算出が困難なので他の電車やバス利用の人と同額かまたは電車バスを利用した場合の実費相当額を手当として支給しております。調査時に否認を受け、追加徴収を求められました。

アドバイス

自家用車や自転車等の交通用具を使用した場合の1か月あたりの非課税限度額は次のようになります。

片道2q未満 無し
 2km以上10Km未満 4,100円
10km以上15Km未満 6,500円
15km以上25Km未満 11,300円
25km以上35Km未満 16,100円
35km以上 20,900円

したがって、自家用車使用者の差額部分は課税通勤手当となります。

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外国人源泉徴収

事例

外国人労働者を雇用しています。扶養控除申告書の提出があったので、通常に甲欄による源泉徴収をして年末調整も実施しました。税務調査で指摘を受け、追加徴収を求められました。

アドバイス

国内に住所を有し、又は現在まで引き続いて1年以上居住している人以外の人を非居住者といいます。この非居住者については20%の源泉徴収が義務づけられています。また、年末調整もできません。制限はありますが確定申告により税は精算することとなります。パスポートなどで入国してからの期間を確認することが重要となります。

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